政府が違法オンラインカジノ対策を強化 ギャンブル依存症抑制へ新基本計画を閣議決定

政府は2025年3月21日、違法なオンラインカジノへの対応強化を目的とした「ギャンブル依存症対策推進基本計画」を閣議決定した。
国内のオンラインカジノ利用者は約337万人に上り、年間の賭け金総額は約1兆2423億円に達する。社会的影響の拡大を受け、政府は取締りの強化と教育・啓発活動の徹底に乗り出す。
広告・決済・紹介サイトを網羅的に規制 運営者と利用者の両面に対策
新たに決定された基本計画では、オンラインカジノをめぐる違法行為に対して網羅的な対策を講じる方針が示された。
特に焦点となっているのが、運営者のみならず利用者や関連業者への取り締まり強化である。現行法では海外の合法カジノサイトであっても、日本国内からアクセスして金銭を賭けた時点で賭博罪に問われる可能性がある。
今回の計画では、通信事業者に対しては違法カジノの広告表示や紹介サイトの開設を禁じるよう要請するほか、アフィリエイト広告の監視も強化される見通しだ。
さらにクレジットカード会社や決済代行業者に対しては、賭け金の決済に利用されないよう注意喚起が行われる。これにより資金の流れそのものを遮断しようとする意図が読み取れる。
警察庁が発表した調査によれば国内のオンラインカジノ経験者は約337万人に上り、年間の賭け金総額は約1兆2423億円と試算されている。
この規模の大きさは違法カジノがもはや一部の問題ではなく、社会全体に影響を及ぼしていることを示している。政府はこうした状況を早期に改善する必要があると判断したと見られる。
若年層の利用拡大を警戒 教育とアクセス制限で依存症抑止へ
オンラインカジノの急速な普及の背景には、スマートフォンやPCから手軽にアクセスできる利便性がある。特に若者層の間で広がりを見せており、ギャンブル依存症の深刻化が懸念されている。
依存症は個人の精神的・経済的ダメージにとどまらず、家庭崩壊や犯罪の誘因にもなり得るため、社会的な問題として対策が急がれている。
今回の基本計画では依存症対策の一環として教育・啓発活動の強化が掲げられた。
特に若年層に向けてオンラインカジノの違法性とそのリスクについて正しく伝える取り組みが強調されている。また、本人や家族の希望に応じてネット投票などのサービス利用を制限できる「アクセス制限」の活用も推奨されており、早期の介入によって被害拡大を防ぐ狙いがある。
今後社会全体での理解促進と制度の浸透が進めば、違法カジノの利用は減少し、ギャンブル依存症の発症件数も抑制される可能性がある。ただし今後の技術進展により新たな手口が登場することも想定されるため、状況に応じた柔軟な対応が求められるだろう。