滋賀大学、AIネイティブ大学の一環としてChatGPT Eduを全学部に導入

OpenAI Japanは2025年3月17日、「OpenAI Education Forum Tokyo」を開催し、パネルディスカッションを行った。
OpenAIは、教育分野における生成AIの活用を推進するため、「AIネイティブ大学」という新たな概念を提唱している。この取り組みの一環として、2025年4月1日より、滋賀大学で日本初となる「ChatGPT Edu」を全学部に導入する予定だ。
AIネイティブ大学とChatGPT Eduの導入背景
「AIネイティブ大学」は、AIを教育現場に深く統合し、学生や教職員がAIと対話しながら学びを深める環境を目指す概念である。教育、研究、大学運営の全ての領域でAIが活用されることが特徴だ。
具体的には、学生はAIと対話しながら学習を進め、教員はカリキュラムの構築や授業運営をAIと共同で行うことが可能となる。
滋賀大学は、日本初のデータサイエンス学部・研究科を設置した経緯があり、AI技術の利活用を積極的に推進してきた。この背景から、ChatGPT Edu(※)の導入に至った。
同大学では、プログラミング教育の補助、語学学習支援、個別学習プランの提供、カスタムGPTを用いた学習支援サポートなど、ChatGPT Eduを多岐にわたる教育活動に活用する予定である。
※ChatGPT Edu:OpenAIが提供する、大学向けに最適化されたAIツール。GPT-4oを搭載し、テキスト解釈、コーディング、数学、データ分析、ウェブ閲覧、文書要約などの高度な機能を備える。
教育現場におけるAI活用の重要性と他大学の事例
AIの教育現場への導入は、学習の質と効率を向上させる可能性がある。
たとえば、アリゾナ州立大学では、ChatGPT Eduを活用して模擬面接の練習や履歴書の作成支援を行っている。また、ペンシルベニア大学ウォートンスクールでは、学生が授業内容を振り返りながら学びを深めるための「Lecture Recall GPT」を開発し、教育効果を高めている。
OpenAIのChatGPT Eduは、テキスト解釈、コーディング、数学に優れたGPT-4oを搭載し、データ分析やウェブ閲覧、文書要約などの高度な機能を備えている。
これにより、学生は個別最適化された学習が可能となり、教職員はカリキュラム作成や研究資料の管理に活用できる。さらに、エンタープライズレベルのセキュリティとコントロールを備え、教育機関向けに廉価で提供される点も特筆すべきである。
滋賀大学のChatGPT Edu導入は、AIを活用した教育の新たなモデルケースとなる可能性が高い。今後、他の教育機関でも同様の取り組みが広がることが期待される。
ただし、AIの導入が進む中で、教育の本質を見失わないようにすることが重要である。
AIはあくまで補助的なツールであり、教育の根幹には人間同士の対話や交流が不可欠である。今後の教育において、AIと人間の協働がどのように進化していくのか、注視する必要があるだろう。