日本IBM、2025年に向けたAI戦略を発表

2025年3月13日、日本IBMは2025年に向けたAI戦略を発表した。
同社は「AIサービス・インテグレーター」として、AIを迅速かつ安全にビジネス価値へ転換することを目指す。
2025年にはオープンなAIプラットフォームの提供やAIソリューションの本番環境への適用拡大など、具体的な施策を推進する方針だ。
2024年の取り組みの成果と2025年のAI戦略
2024年、日本IBMはAI分野で以下の3つの主要な取り組みを実施した。
第一に、デジタル変革を促進するためのAIソリューションを開始し、企業の業務効率化と競争力向上を支援した。
第二に、400件を超えるパイロットプロジェクトを実施し、高サイクルの技術検証を通じてAIスキルとアセットの開発を推進した。これにより、品質と生産性の改善が図られた。
第三に、IBM社内の業務や製品にAIを組み込み、生成AIスキル認定コンサルタントの数は1万人を超えた。さらに「Granite 3.0」を自社製品へ積極的に組み込むなど、社内でのAI活用を推進した。
日本IBMは新たに、2025年を「AIをビジネス価値に転換する年」と位置づけ、以下の3つの重点施策を発表した。
第一に、従来のデジタルサービス・プラットフォームを拡張し、DXやAIアプリをプラグインすることで、オープンなAIプラットフォーム・サービスを提供する。これにより、AIの活用を迅速化、生産性向上、安全性の確保を実現する見込みだ。
第二に、「IT変革のためのAIソリューション」を本番環境に適用・拡大する。これには、AI戦略策定とガバナンス、コード生成、テスト自動化、IT運用高度化、プロジェクト管理のためのAIソリューションが含まれる。
第三に、AIパートナーシップを強化し、AI+PLIコンソーシアムの設立や、AIプラットフォーム「IBM Consulting Advantage」による顧客との共創を推進する。
これらの施策を通じて、顧客がAIの能力を迅速かつ安全にビジネス価値へ転換できるよう支援していく方針だ。
今後の展望
今後、日本IBMのAI戦略が順調に進行すれば、企業のデジタルトランスフォーメーションが加速し、業務効率化や新たなビジネスモデルの創出が期待される。 特に、オープンなAIプラットフォーム・サービスの提供やAIパートナーシップの強化により、企業間の連携が深化し、イノベーションが促進される可能性がある。
また、最新の基盤モデル「Granite 3.2」の導入により、業務特性に応じたAIの最適化が進み、各業界でのAI活用が広がると考えられる。
ただし、AI導入に伴う課題として、人材育成やガバナンス体制の構築が挙げられる。 これらの課題に対応するためには、企業内での教育やトレーニングの強化、適切なガバナンス体制の整備が重要となるだろう。
さらに、AIの導入が社会全体に与える影響を考慮し、倫理的な視点や法的な枠組みの整備も必要である。