トランプファミリー、バイナンスUSへの出資協議か

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の2025年3月13日の報道によれば、トランプ大統領の家族が暗号資産取引所バイナンスの米国部門への出資を検討しているという。 この協議は、バイナンスの米国市場再参入を目指す動きの一環とされる。
トランプファミリーとバイナンスUSの出資協議の背景
バイナンスは、2023年11月に創設者のチャンポン・ジャオ氏が米国の資金洗浄規制違反を認めてCEOを退任し、同社は当局に総額43億ドルを支払った。これにより、バイナンスは米国市場から一時撤退を余儀なくされた。その後、同社は米国での投資計画の一部を撤回し、経営破綻した企業の買収からも手を引いた。
こうした状況下で、バイナンスは米国市場への再参入を模索しており、その一環としてトランプファミリーとの協議が行われたとされる。
トランプ氏は2024年8月、米国を「地球上の暗号資産の中心地」とする計画を発表すると予告し、暗号資産業界への関与を強めている。
また、トランプファミリーは分散型金融(DeFi)プロジェクト「ワールド・リバティー・ファイナンシャル」を推進しており、今回の協議も同プロジェクトを通じて行われる可能性がある。
協議には、トランプ氏の友人であり、ワールド・リバティー・ファイナンシャルの共同創設者であるスティーブ・ウィトコフ氏が関与していると報じられている。
市場への影響と今後の展望
このニュースを受けて、バイナンスが推進するBNBチェーン(※)のネイティブトークンであるBNBの価格は一時5%上昇し、600ドルを超えた。これは投資家の期待感を反映していると考えられる。出資を受け、バイナンスUSの成長が加速すれば、暗号資産市場全体が活性化し、新たな投資機会が生まれることも期待される。
しかし、バイナンスの創設者であるチャンポン・ジャオ氏は、今回の協議に関与していないと述べており、協議の透明性や実現性については不透明な部分が残る。また、バイナンスUSは過去に米国の規制当局との間で問題を抱えており、今後の展開には慎重な見極めが必要である。
出資が実現すれば、バイナンスUSの米国市場への再参入が加速し、暗号資産市場全体にも大きな影響を与える可能性がある。
一方で、トランプファミリーの関与が規制当局や市場にどのように受け止められるかも注目される。
今後の動向次第では、暗号資産市場の勢力図が大きく変わる可能性があるだろう。
※BNBチェーン:バイナンスが開発したブロックチェーンプラットフォームで、ネイティブトークンであるBNBは取引手数料の支払いやステーキングなどに使用される。