山形大学のナスカ地上絵研究、米総合科学誌の「コッツァレリ賞」を受賞 AIによる新発見が高評価

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山形大学のナスカ地上絵に関する研究が、アメリカの総合科学誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載され、同誌の「コッツァレリ賞」を受賞したことが、3月12日に発表された。
この研究ではAI(人工知能)を活用し、新たに303点の小型地上絵を発見することに成功した。これまでの研究を大きく前進させる成果となった。

目次

山形大学とIBMの共同研究、AIがナスカ地上絵の新たな発見を導く

山形大学ナスカ研究所がIBM研究所と共同で行った研究が、ナスカ地上絵の新たな発見につながった。
ナスカ地上絵は、ペルー南部のナスカ台地に描かれた巨大な幾何学模様や動植物の絵で、紀元前200年から紀元後600年の間に作られたとされる。これらの地上絵は宇宙からも視認可能であり、考古学的価値が極めて高い。

研究では、約400平方キロメートルに及ぶナスカ台地全域の航空写真をAIで分析し、新たに303点の小型地上絵を確認した。
これまで知られていた大型地上絵と比較すると、新たに発見された地上絵は全長平均9メートルと小型で、モチーフや分布状況にも一定のパターンが認められた。
AIによるパターン認識技術により、肉眼では識別が難しい地上絵も精度高く検出されたことが今回の成果の大きなポイントだ。

研究チームは、新たに発見された地上絵が家畜に関連する情報の記録や儀礼用の広場としての機能を果たしていた可能性があると考察している。

今回の研究成果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載され、同誌の「コッツァレリ賞」を受賞した。
PNASは世界で最も引用される科学誌の一つであり、2024年には3200本以上の論文が掲載された。その中から特に優れた6本の研究が表彰され、山形大学の研究が選出されたことは、日本の研究レベルの高さを示す快挙である。

AIを活用した研究と今後の展望

AIを活用したナスカ地上絵の研究は、考古学分野に大きな革新をもたらしたと言えるだろう。
これまで肉眼では発見が難しかった小型の地上絵をAIが高精度で検出できるようになったことで、ナスカ地上絵に関する理解が飛躍的に深まった。
AIによるパターン認識技術を用いることで、広範囲にわたる地上絵の効率的な調査と分類が可能になったことも重要な利点である。
また、山形大学とIBMの共同研究が国際的に高く評価されたことにより、日本の研究力や技術力の高さが世界に認められた点も大きな成果だろう。

一方で、AIモデルの精度やアルゴリズムの透明性が十分に検証されていない場合、誤検出や過剰解釈が発生するリスクも否定できない。
さらに、研究の継続には資金や人材の確保が不可欠であり、地方大学である山形大学にとって持続的な資金調達が課題となる可能性がある。

ナスカ地上絵の保存・保護にも目を向ける必要がある。
気候変動や人為的な損傷によって地上絵が劣化する可能性があるため、AIを活用したモニタリングやデジタル保存の取り組みが今後の課題となるだろう。

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