金融犯罪撲滅へ、「金融犯罪対策協会」が発足 bitFlyerやセブン銀行など参加

2025年3月13日、東京都内で「一般社団法人金融犯罪対策協会」の設立会見が開催された。この協会はマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与などの金融犯罪対策を目的とし、情報共有や啓発活動の強化に取り組む。
bitFlyerやセブン銀行をはじめとする企業が参画し、業界を超えた連携を進める方針だ。
金融犯罪の脅威と協会設立の背景
金融犯罪は国際的な問題であり、特にマネーロンダリングやテロ資金供与は深刻な課題となっている。資金の流れを追跡しづらくすることで、犯罪組織の資金調達を助長する恐れがあるため、各国で対策が強化されてきた。
日本でもこの問題への対応が求められており、金融機関や関連企業の協力が不可欠とされている。
こうした背景のもと、2020年より産官学の有志による「金融犯罪対策研究会」が研究を進めてきた。そしてその姉妹団体として、2025年3月に「一般社団法人金融犯罪対策協会」が設立された。
同協会は業界全体の取り組みを統括し、より効果的な金融犯罪対策を推進する役割を担う。
設立時の会員には、セブン銀行やbitFlyer、SCSK RegTech Edge、NTTデータルウィーブ、ジンテック、野村総合研究所、Liquid、Chainalysis Japanといった企業が名を連ねる。
これらの企業は金融サービスやブロックチェーン技術、データ分析の分野で強みを持ち、それぞれが金融犯罪対策に貢献することが期待されている。
協会の活動と今後の展望
金融犯罪を防ぐためには、企業間および政府との間での情報共有が不可欠である。
同協会は、金融機関同士や政府機関との情報共有を促進し、最新の犯罪手口や対策技術を共有する場を提供する。
これにより、犯罪組織の手口の早期発見や防止が可能になると考えられる。
また、啓発活動も重要な柱の一つだ。
業界関係者や一般市民に向けたセミナーや情報発信を行い、金融犯罪の危険性や対策についての理解を深める狙いがある。こうした活動は、犯罪の未然防止につながると期待される。
さらに、海外の法制度研究も主要な活動の一環である。アメリカやイギリス、シンガポールなどの国々では、暗号資産を悪用した金融犯罪への規制が進んでいる。同協会の理事長に就任したbitFlyerの法務部長・中崎隆氏は、「日本でもこうした海外の取り組みを参考にし、法制度の強化を図る必要がある」と指摘している。
今後は業界横断的な協力を促進し、デジタル技術を悪用した不正取引やマネーロンダリングの防止に注力する方針だ。
設立に参加した企業の間では協会の活動への期待が高まっており、金融業界全体の協力を通じて、より効果的な対策が実現されることが見込まれる。