国内初、AI選別機が乾シイタケの分類に成功 高齢化による労働力不足を解消へ

県椎茸農業協同組合は2025年3月13日、AI技術を活用した画像解析選別機の稼働を開始した。この選別機は、乾シイタケを大きさや色合いに基づいて30種類に分類し、作業の効率化と品質の均一化を実現する。
AI選別機導入で作業効率43%向上
大分県は国内最大の乾シイタケ生産地であり、全国の供給を支える重要な役割を担っている。しかし、従来の生産体制では、高齢化による労働力不足が深刻化し、特に選別作業の負担が課題となっていた。
AI選別機は、未選別の乾シイタケを高速でスキャンし、画像解析によって大きさや色合いを判定し、30種類に分類する。この技術により、従来の手作業に頼っていた選別工程の大幅な効率化が見込まれる。
これまで選別に費やされていた時間が短縮され、作業効率は43%向上する見通しだ。
また、品質の均一化が進み、市場に供給されるシイタケの規格が統一される。
これにより、安定した品質の商品が供給可能となり、高単価での販売につながることが期待されている。
生産者にとっても、AI技術の導入は負担軽減というメリットをもたらす。
現在、大分県のシイタケ生産者の平均年齢は70代と高く、長時間の選別作業が体力的な負担となっているが、選別機の活用により、作業時間が短縮されるだけでなく、労働環境の改善にもつながると考えられる。
組合長の青野浩志氏は「導入で作業負担の軽減につながってほしい」と述べており、今後の運用に期待を寄せている。
市場と農業全体への影響
AI選別機の導入は、乾シイタケ市場にどのような影響をもたらすのだろうか。
まず、品質が均一化されることで、消費者は安定した品質のシイタケを手に入れやすくなるだろう。
また、各農家のブランド価値が向上し、高価格帯での販売が実現できる可能性もある。
輸出市場では品質の安定性が求められるため、国際競争力の強化にもつながると考えられる。
AI選別機は、乾シイタケに限らず、他の農産物の選別工程にも応用できる技術であるため、全国の農業関係者からも注目されるだろう。
AIによる選別が当たり前になる未来も、遠くはないかもしれない。