インテル、新CEOにリップ・ブー・タン氏を任命 再建への期待高まる

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米国の半導体大手インテルは2025年3月12日(現地時間)、元取締役で半導体業界のベテランであるリップ・ブー・タン氏(65)を新たな最高経営責任者(CEO)に任命したと発表した。

タン氏の就任は3月18日を予定しており、業績不振に陥っている同社の再建に向けた重要な一歩と位置付けられている。

目次

リップ・ブー・タン氏の経歴とインテル再建への期待

リップ・ブー・タン氏は、マサチューセッツ工科大学で原子力工学の修士号を取得し、サンフランシスコ大学でMBAを修了した。
2009年から2021年まで電子設計自動化(EDA)ソフトウェア企業であるケイデンス・デザイン・システムズのCEOを務め、その在任中に同社の収益を2倍にし、株価を3200%以上上昇させるなど、卓越した経営手腕を発揮した。

また、2022年から2024年8月までインテルの取締役を務め、製造部門の監督も担当していた。

タン氏の取締役辞任は、当時のCEOであったパット・ゲルシンガー氏や他の取締役との間で、企業文化や戦略に関する意見の相違が背景にあったとされる。

具体的には、インテルの人員規模の拡大や官僚的な企業文化、人工知能(AI)戦略の遅れに対する不満が指摘されていた。

今回のCEO就任にあたり、タン氏は「インテルをエンジニアリングに重点を置いた企業に再構築し、顧客中心のイノベーションを推進する」とのビジョンを掲げている。また、同社を一流の製品企業およびファウンドリとして再確立することを目指しており、テクノロジー業界における深い専門知識と広範な人脈を活かす考えだ。

市場の反応とインテルの今後の展望

タン氏のCEO就任発表後、インテルの株価は時間外取引で11%以上上昇し、市場からの期待の高さがうかがえる。

インテルは近年、競争激化や技術革新の遅れにより、業績が低迷していた。特に、2024年には約188億ドルの損失を計上し、同社史上最悪の年となった。

また、同年には全従業員の15%以上にあたる約1万7500人の人員削減を実施し、コスト削減に取り組んでいた。

タン氏の就任により、インテルはエンジニアリング重視の企業文化への再構築や、AI戦略の強化、製品開発のスピードアップなど、競争力回復に向けた具体的な施策が期待されている。

特に、タン氏の顧客中心のイノベーション推進が、同社の市場シェア拡大に寄与すると考えられる。

しかし、これらの施策が実を結ぶまでには時間がかかる可能性があり、短期的な成果を求める投資家からのプレッシャーも予想される。また、半導体業界全体の動向や競合他社の戦略も、インテルの今後の成長に影響を与える要因となる。

総じて、タン氏のリーダーシップの下、インテルが持続的な成長を遂げるためには、内部改革と市場動向への柔軟な対応が鍵となるだろう。

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