NTT Com、アルプスアルパイン、STech Iがローカル5Gを活用したオンボード映像伝送の実証実験を実施

2025年3月11日、NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)、アルプスアルパイン株式会社、双日テックイノベーション株式会社(STech I)の3社は、栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎにおいて、ローカル5Gを用いた高精細・低遅延なオンボード映像伝送の実証実験を実施したと発表した。
モータースポーツにおけるローカル5Gの可能性
モータースポーツの世界では、無線通信が重要な役割を果たしている。車両や設備のセンサーデータの収集、キャッシュレス決済の実施、そしてレース中の臨場感を高める車載カメラの映像伝送など、多様な用途で無線技術が活用されている。
特にリアルタイムの映像配信においては、映像の高精細化と遅延の低減が求められる。
NTT Comは実験の策定、実施、結果の解析を担当し、アルプスアルパインはローカル5G(※)端末の供給や車載製品の設計・製造に関するアドバイスを提供した。また、STech IはCelona製品を提供し、技術面でのサポートを行った。
今回の実証実験では、ローカル5Gシステムを構築し、レースカーからの映像伝送の品質向上を図った。ローカル5Gは、キャリア5Gとは異なる周波数帯を利用することで、安定した高速通信を実現できるのが特徴である。
実験では、高速移動する車両からの映像をリアルタイムで伝送し、画質や遅延の評価を行った。
通信品質の安定化を図るため、サーキット全域に基地局を設置し、電波の届きにくい場所への対応も行われた。
加えて、高速移動中の通信を維持するため、ハンドオーバーの調整が実施され、途切れることのない映像配信が可能かどうかが検証された。
実証実験では、ローカル5Gを用いた映像伝送の安定性が確認された。高速移動するレースカーからの映像がリアルタイムで途切れることなく配信され、従来の通信技術と比較して遅延が大幅に低減されたことが報告されている。
これにより、モータースポーツ観戦における視聴体験の向上が期待される。
※ローカル5G:特定の企業や団体が独自に構築できる5Gネットワーク。キャリア5Gに比べ、利用エリアが限定されるが、安定した通信を確保しやすい特性がある。
実証実験の課題と将来性
ローカル5Gはキャリア5Gとは異なり、利用可能なエリアが限定されるため、サーキットなど特定の場所でしか効果を発揮できない。
さらに、基地局の設置やハンドオーバーの最適化など、環境に応じた細かな調整が求められるため、初期導入コストや技術的なハードルが高い点も課題といえる。
今後は、ローカル5Gを活用した高精細・低遅延な映像配信技術のさらなる発展が見込まれる。
レース観戦の臨場感向上だけでなく、高速移動する車両やドローンからのリアルタイム映像データを活用し、監視や点検といった新たなユースケースへの応用も期待できるだろう。
これにより、モータースポーツ以外の産業分野にもローカル5Gの技術が広がる可能性が高い。