米国、スタートアップの25%が95%以上のコードをAIが生成 米国スタートアップ支援企業のバッチに参加した企業から集計

米国シリコンバレーを代表する有力スタートアップアクセラレーター、Y Combinator(YC)の最新バッチに参加するスタートアップの約25%が、95%以上のコードをAIによって生成していることが明らかになった。TechCrunchが2025年3月6日に報じている。
AIによるコード生成がスタートアップ開発の新潮流に
AirbnbやDropboxなど数多くのユニコーン企業を輩出してきたYCの管理パートナー、Jared Friedman氏は、最近のYouTube討論で最近の動向を明らかにした。それによると、YCの最新バッチに参加するスタートアップの約4分の1が、ほぼ全てのコードをAIによって生成しているという。この現象は、単に技術力の欠如を意味するものではなく、AIを活用した新しい開発アプローチ「バイブコーディング」の普及を示している。
「バイブコーディング」とは、OpenAIの創設メンバーであり、計算機科学者であるAndrej Karpathy氏によって提唱されたアプローチだ。ChatGPTやClaudeなどの大規模言語モデル(LLM)を活用し、コードそのものにフォーカスするのではなく、自然言語による指示と開発者の直感を組み合わせてコードを生成する手法を指す。
この手法により、開発の効率化やイノベーションの促進が期待される一方で、セキュリティの脆弱性やシステム障害、デバッグが必要なエラーなどの品質問題も指摘されている。特に、長期的な製品維持においては、従来のコーディングスキルが依然として重要な役割を果たすと考えられている。
AI駆動のコーディングがVC投資を呼び込む
AI駆動のコーディングツールに対するVCや開発者の関心は急速に高まっている。例えば、AIコーディングツールを提供するBolt.newやCodeiumといった企業は、この一年間で数億ドルの資金調達に成功している。このような投資の増加は、AIによるコード生成が単なる一時的なトレンドではなく、今後のソフトウェア開発の主流になる可能性を示している。
YCのGarry Tan社長兼CEOは、「0からプロダクトを作る技術のあるスタートアップが、今では95%をAIで開発している」として、AIコーディングがスタートアップの開発プロセスを根本から変革すると予測している。
一方で、コンピュータビジョンと機械学習を専門とするエンジニアであるDiana Hu氏は、品質のあるコードを見分けるセンスと、そのための訓練の重要性を強調しており、AIツールの活用と従来の技術的基盤のバランスが重要だと指摘している。
AIがスタートアップの開発プロセスを効率化する中で、技術的知識とAI活用の最適な組み合わせが、次世代のスタートアップエコシステムを形成する鍵となるだろう。
参考 : Tech Crunchの記事