マイクロソフト、北欧の持続可能なエネルギーを活用したデータセンター戦略を強化

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2025年3月7日、マイクロソフトは、電力供給能力を重視するため、北欧地域へのデータセンター戦略を強化する方針を示した。
北欧地域の冷涼な気候は、再生可能エネルギーの供給を促すため、AIの維持に向けたデータセンターの効率的な運営が可能となる。マイクロソフトは、この点に注目したようだ。

目次

電力供給能力を重視した新戦略

マイクロソフトは、全世界で約300のデータセンターを運営し、2025年6月末までにさらに約800億ドルを投資する計画を立てている。

同社のAIインフラ担当責任者であるアリステア・スピアーズ氏は、「AIの需要拡大に伴い、新たなワークロードが法的に特定の場所に縛られないことから、電力供給能力が豊富な地域、特に北欧を理想的な場所と見なしている」と述べた。
北欧地域は、冷涼な気候、信頼性の高い電力網、そして豊富なカーボンニュートラル電力の供給など、多くの利点を持つ。 これらの要素が組み合わさり、マイクロソフトの持続可能なインフラ拡大に適した環境を提供している。

具体的には、フィンランドにおいて、新たに3つのサイトと12のデータセンターを建設中だ。
これらの施設では、地元の地域暖房(※1)プロバイダーであるフォータム社と提携し、データセンターからの廃熱を回収して住宅の暖房に再利用する取り組みが進められている。
フィンランド第2の都市であるエスポー市では、フォータム社の最後の石炭焚き暖房ユニットの廃止が進められており、より持続可能なエネルギーへの移行が促進されている。

今後の展望

マイクロソフトは、2030年までにカーボンネガティブ(※2)を達成するという目標を掲げている。 中でも、スウェーデンへの投資計画は顕著であり、AIおよびクラウド施設へ32億ドル(約5000億円)を投資する計画が発表されている。
同国のAI導入を加速し、長期的な競争力を強化することを目指しているようだ。

マイクロソフトの戦略は、今後のデータセンター運用におけるグローバルなスタンダードの一つになる可能性がある。
カーボンニュートラルなエネルギーの活用は、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)評価を高める要素となり、他のクラウド事業者も同様の取り組みを加速させると考えられる。特に、AIの需要が増大する中では、持続可能なデータセンターの運営は競争力の要因となるだろう。

一方で、北欧以外の地域でも同様のモデルを展開するかどうかが注目される。
たとえば、アジアやアフリカなどの地域では、再生可能エネルギーの供給体制が異なるため、別のアプローチが求められるかもしれない。

最終的に、マイクロソフトの取り組みが長期的な持続可能性と収益性を両立できるかが焦点になると思われる。短期的な成功にとどまらず、グローバル規模での展開を視野に入れた柔軟な戦略が求められるだろう。

※1 地域暖房: 中央の熱源から複数の建物に熱を供給するシステム。効率的なエネルギー利用とCO2排出削減に寄与する。

※2 カーボンネガティブ: 企業や組織が、自らの活動によって排出する二酸化炭素(CO2)よりも多くのCO2を削減または除去する状態を指す。

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