JR東日本、新幹線を活用した荷物輸送サービス「はこビュン」を事業化

2025年3月4日、JR東日本は新幹線を利用した荷物輸送サービス「はこビュン」の事業化を発表した。このサービスは、物流業界の人手不足やCO2排出量削減、地方創生などの社会的課題に対応することを目的としている。
2025年4月18日より、新青森・東京間でのサービス開始が予定されており、今後は全国的な展開も視野に入れている。
新幹線を活用した「はこビュン」のサービス概要
「はこビュン」は、JR東日本が運行する新幹線や在来線特急を活用した荷物輸送サービスである。2025年4月18日から、新青森・東京間でのサービス開始が予定されている。
このサービスは、小口から大口までの荷物輸送に対応しており、事前予約不要で荷物1個から利用可能な「はこビュンQuick」も提供される。
さらに、専用の物流管理システムを導入し、輸送状況のリアルタイム追跡が可能となる。この仕組みにより、荷物の到着予定時刻の正確性が向上し、企業や個人にとって利便性が高まる。
JR東日本は、「はこビュン」を通じて、物流業界の人手不足やCO2排出量削減、地方創生といった社会的課題の解決を目指している。たとえば、新幹線を利用した荷物輸送により、トラックドライバーの拘束時間を大幅に削減し、労働力不足の緩和に寄与する。
また、鉄道輸送はトラック輸送に比べてCO2排出量が少ないため、環境負荷の軽減にもつながる。さらに、地方で生産された農産物や特産品を迅速に都市部へ届けることで、地域経済の活性化にも貢献することが期待される。
具体的なサービス内容と今後の展望
「はこビュン」は、法人向けの定期輸送サービスとして、1箱単位から大口輸送まで対応する。2025年4月18日からは、東北新幹線の新青森駅と東京駅間で、毎週金曜日に定期運行を開始する予定である。
さらに、E3系新幹線1編成を荷物輸送専用車両として改造し、2025年秋には盛岡・東京間での輸送を開始する計画も進行中だ。加えて、特定の顧客向けに柔軟な輸送オプションを提供する計画も進められており、緊急性の高い荷物にも対応可能な体制を整える。
将来的には、秋田・山形・上越新幹線などへのサービス展開や、航空機との連携による海外へのサービス拡大も視野に入れている。これにより、地域産業の振興や観光流動の創出が期待される。
特に、海外市場への輸送が実現すれば、日本の農産物や工芸品の輸出促進にも貢献する可能性がある。JR東日本グループは、これらの取り組みにより年間100億円規模の収益を目指している。