京王電鉄、井の頭線で自動運転の実証試験を開始

京王電鉄は2025年3月6日、自動運転機能を備えた「井の頭線1000系」による自動運転の実証試験を、井の頭線における吉祥寺・渋谷間の12.7kmで、3月中旬から開始すると発表した。 試験では、運転士と車掌が乗務した状態で回送列車として走行する。

自動運転システムの導入と車両の改良

京王電鉄は、少子高齢化や働き方改革などの社会的変化に対応し、安全性とサービス向上を目指している。
その一環として、井の頭線1000系車両に自動運転設備を搭載し、ワンマン運転の実現に向けた実証試験を開始する。 

自動運転システムには、自動列車制御装置（ATC ※）や定位置停止装置（TASC）が含まれ、出発制御や駅間走行制御、定位置停止制御が可能である。 これにより、均質な運転操作が実現し、定時性の向上や省エネ効果が期待される。 

さらに、ブレーキ制御機能が従来の7段階から28段階に増加し、停止精度と乗り心地の向上が図られている。
車内案内表示器も多言語対応に更新され、外国人利用者への配慮がなされている。
また、乗務員室と客室間の仕切り窓が拡大され、子どもたちが前面展望を楽しめるよう工夫されている。 

※自動列車制御装置（ATC）：先行列車との間隔や曲線、分岐、下り勾配、停車駅などの条件をもとに、常に適正な速度で走行するよう列車を制御する装置。 

鉄道業界における自動運転の展望

この試験の目的は、自動運転システムの安全性・安定性の確認と、乗務員が行う業務や動作の課題を抽出することである。 試験結果は、将来的なワンマン運転の実現や、京王線での自動運転化にも活用される予定だ。

しかしながら、自動運転に対する利用者の不安感は依然として存在する。特に高齢者や技術に不慣れな人々にとって、自動運転に対する抵抗感があるかもしれない。
不安感を解消するためには、教育や体験プログラムを通じて自動運転技術の理解を深め、実際に利用する機会を提供することが重要であると言える。

京王電鉄の自動運転実証試験は、今後の鉄道業界における重要な転機となる可能性がある。
また、他の鉄道会社も自動運転技術の導入を検討する動きが加速するかもしれない。特に、少子高齢化や労働力不足が進む中で、効率的な運営が求められるため、自動運転技術の普及が進む可能性が高いと考えられる。

京王電鉄は、技術革新を促進し、お客さまサービス向上や働きやすい職場環境の実現、省エネ運転によるCO2排出量削減により、持続可能な鉄道事業を目指している。
実証試験の結果を含め、今後の取り組みに注目したい。