オルツ、AI学習データ販売プラットフォーム「altDataStock」を公開 アジア市場でのAI開発を加速

2025年3月6日、株式会社オルツはアジア最大級のAI学習データ販売プラットフォーム「altDataStock」を公開した。このプラットフォームは、テキスト、音声、画像、動画など多様なデータを提供し、AIモデルの性能向上を支援する。
「altDataStock」がもたらすAI開発の新たな可能性
近年、機械学習モデルの性能はデータの質と量に大きく依存しており、特にアジア市場では多言語対応のデータ需要が高まっている。
この課題に対応するため、「altDataStock」は日本語を含む複数のアジア言語のデータセットを揃え、国際的なAI開発を支援する。
本サービスの大きな特徴の一つがデータのカスタマイズ性だ。企業のニーズに応じて、ドメインやターゲット層に特化したデータを提供できるため、特定市場向けのAIソリューション開発が容易になる。
たとえば、年代別の消費者行動データや、特定の産業向け音声データを選定できるため、AIの精度向上が期待される。
また、オルツはISMS(※)認証を取得し、情報セキュリティの面でも万全な管理体制を構築している。厳格な基準に基づくデータ管理により、企業は機密性の高いデータを安全に取り扱いながらAI開発を推進できる。
今後、「altDataStock」は、より多様なデータセットを拡充し、業界ごとのニーズに応じたサービスを強化する方針だ。
AI市場の拡大に伴い、データの重要性はさらに高まると考えられており、オルツはこの分野でのリーダーシップを確立することを目指している。
オルツの国際的な連携と「altDataStock」の展望
オルツは日本国内にとどまらず、国際的なAI市場にも積極的に関与している。
その一環として、シンガポール政府の国家AI推進プログラム「AI Singapore」と連携し、技術開発や市場展開の支援を行っている。これにより、アジア全域の企業が高品質なデータを活用しやすくなり、地域全体のAI技術発展に貢献する狙いがある。
さらに、北米企業のアジア市場進出を支援する取り組みも進行中だ。
言語や文化の違いによる課題を克服するため、アジア市場に特化したデータ提供を行い、現地に適したAIモデル開発をサポートしている。
一方で、競合他社との違いを明確にする必要がある。
現在、AI学習データ市場はGoogle、Amazon、Microsoftといった巨大企業が支配している。競争力を高めるには単なるデータ提供にとどまらず、データの品質管理、アノテーション、前処理サービスなど、付加価値の高いソリューションを提供する必要がある。
総じて、「altDataStock」はアジア市場のAI開発を加速させる大きなポテンシャルを持っているが、品質管理や価格設定、規制対応といった課題を適切に解決できるかどうかが、今後の成長を左右するだろう。
※ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム):企業や組織が情報セキュリティを確保するための管理体制や基準を指し、国際規格ISO/IEC 27001に基づく認証が一般的に利用される。