ディープシークの躍進と中国AI企業の台頭

2025年3月4日、中国全国人民代表大会(全人代)の婁勤倹報道官は、人工知能(AI)分野における中国企業の台頭を象徴する存在として、新興AI企業ディープシーク(DeepSeek)の目覚ましい進歩を称賛した。
中国全国人民代表大会、ディープシークを高く評価
ディープシークは、2025年1月に初のAIモデル「DeepSeek-R1」を発表し、世界的な注目を集めた。 同社のオープンソース戦略により、AI技術の普及が加速し、中国の技術革新と包摂性が示された。
2025年3月4日、中国全国人民代表大会(国会に相当)の婁勤倹報道官は、「ディープシークの目覚ましい進歩はAI分野における中国企業の台頭を示している」との見解を示した。
また、AI分野の進歩に関する質問に対し、ディープシークの若いチームが成し遂げたことは「称賛に値する」と述べた。
ディープシークの市場戦略と今後の展望
ディープシークはオープンソースのアプローチを採用しており、AI技術の民主化を推進している。
この戦略により、他の企業や研究機関も最新技術にアクセスしやすくなり、AI分野全体の発展が促進される可能性が高い。また、低コストで高性能なモデルを提供することで、AI技術の普及が進み、中国の産業全体が恩恵を受けることが考えられる。
一方で、デメリットも無視できない。
最大の懸念は、技術の流出と競争力の維持である。オープンソースのアプローチは透明性を高める一方で、競争優位性を損なう可能性がある。
加えて、米国や欧州のAI企業との競争が激化する中では、中国独自の技術的優位を維持できるかは不透明だ。
さらに、中国政府によるAI企業への強力な支援が、国際的な規制や対立を招くリスクもある。
現在ディープシークは、次世代モデルの早期リリースを計画しており、AI分野でのリーダーシップを強化する意向を示している。
今後は、政府のさらなる支援のもと、同様の新興企業が次々と登場し、AI分野の競争が一層活発化する可能性がある。
ディープシークの成長が、中国国内にとどまらず、国際市場にどのような影響を及ぼすのか、今後の動向を注視する必要がある。