さくらインターネットとキヤノンITS、自治体向け暗号化消去対応フォーム「Cipher-X」を提供開始

2025年3月6日、さくらインターネット株式会社とキヤノンITソリューションズ株式会社(キヤノンITS)は、自治体向けの暗号化消去対応フォーム「Cipher-X」の提供を開始した。
このサービスは、2024年に改訂された総務省のガイドラインに準拠し、自治体が個人情報を安全かつ適正に管理することを目的としている。
「Cipher-X」の特徴と導入の背景
近年、自治体における情報セキュリティの重要性が高まっている。
2024年に総務省が改訂したガイドラインでは、クラウドデータの暗号化や適切な消去方法、暗号鍵の管理などが強調されている。
特に個人情報を扱う機会が増える一方で、その管理方法には依然として課題が多く、適正な処理と消去が強く求められている。
これを受けて、さくらインターネットとキヤノンITSは共同で「Cipher-X」を開発した。
「Cipher-X」は、イベント集客などで一時的に収集した個人情報を、安全かつ適正に管理するためのウェブフォームサービスである。収集された情報はクラウド上で暗号化され、厳重な暗号鍵によって管理される。
さらに、情報の消去時にはデータ適正消去実行証明協議会(ADEC)による第三者データ適正消去証明書の発行が可能であり、データ消去プロセスの透明性と信頼性を強化する。
また、個人情報を取り扱う業務担当者の負担を軽減し、運用コストやリスクの軽減にも寄与する。
データは、さくらインターネットが運営する国内のデータセンターで管理される一方で、暗号鍵は物理的に隔離されたキヤノンITSの西東京データセンターで保管されるため、情報漏洩リスクの大幅な低減が見込まれる。
これにより、データの安全性が一層高まっている。
料金プランと今後の展望
「Cipher-X」の料金プランは、初期費用66,000円(税込)と月額費用11,000円(税込)で設定されている。この価格設定は、自治体が導入しやすい水準であり、コストパフォーマンスに優れていると言える。
さくらインターネットの執行役員、大嵜昌子氏は、「本サービスを通じて、個人情報の適正な取り扱いを支援するとともに、自治体の業務効率化に貢献してまいります」とコメントしている。
また、キヤノンITSの取締役、吉田啓氏は、「今回の事業開始は、『暗号化消去』がデータ消去方法のスタンダードとなっていく歴史的な第一歩になると確信しています」と述べている。
今後、両社は「Cipher-X」を通じて、自治体の情報セキュリティ強化と業務効率化を支援し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に寄与することを目指している。