サムスンの次世代VRヘッドセット、ソニー製新型高性能ディスプレイ採用と報道

韓国サムスン電子が開発中の次世代VRヘッドセットに、ソニー製の高性能マイクロOLEDディスプレイが採用されるという報道が、アメリカのVRメディア、UploadVRより2025年3月6日に出された。
このディスプレイはApple Vision Proより優れた色域と垂直視野角を実現しており、VR市場の競争図式に変化をもたらす可能性が高いという。
高品質ディスプレイがもたらす没入感
サムスンの新型ヘッドセットに搭載されるソニー製1.35インチマイクロOLED(※)ディスプレイは、3552×3840という高解像度を誇る。
これはApple Vision Proの3660×3200を垂直方向で上回るスペックだ。
特に色域性能に優れ、デジタルシネマ業界で標準とされている色空間であるDCI-P3の色彩カバー率は、96%を達成している。
この数値はApple Vision Proの92%を凌駕しており、より鮮やかで正確な色彩表現を可能としている。
マイクロOLED技術は、一般的なOLEDパネルと比較して消費電力が少なく、発熱も抑えられるという利点も備えている。
これにより、ヘッドセットの長時間使用が可能となり、バッテリー持続時間の向上にも寄与すると考えられる。
※マイクロOLED
従来のOLEDよりもさらに微細な有機ELディスプレイ技術で、高精細・高コントラスト・低消費電力を実現する次世代ディスプレイ。
激化するVR市場、各社の戦略と今後の展開
VR市場では、Apple Vision Pro発売後、各社の開発競争が激化している。
UploadVRのDavid Heaney記者によれば、サムスンのソニー製ディスプレイ採用に対し、Appleも対抗策を練っているという。
Appleは今年後半にM5チップを搭載した新型Vision Proの量産を計画しており、サムスンと同様にソニー製の新型マイクロOLEDディスプレイを採用する可能性があるとのことだ。
一方で、Appleは中国BOE製ディスプレイへの切り替えも検討しているという。
BOEのマイクロOLEDはソニー製と同等の3552×3840解像度を持ち、生の明るさは6000ニット(20%持続時1200ニット)とさらに高い性能を持つが、色域はDCI-P3カバー率92%とソニー製より若干劣る。
コスト面での優位性から、量産モデルではBOE採用の可能性も否定できない。
VRヘッドセットの競争が激化する中で、サムスンの新ヘッドセットが成功するかどうかは、ディスプレイ性能だけでなく、処理性能や装着感、ソフトウェアエコシステムの充実度が鍵となる。
Appleの動向も含め、VRヘッドセット業界の今後の発展に期待がかかる。