産総研、ペロブスカイト太陽電池の自動作製技術を開発

ペロブスカイト太陽電池は、近年注目を集める次世代型の太陽電池技術である。
その特徴として、軽量で柔軟性が高く、従来のシリコン太陽電池と同等の高い変換効率を持つ点が挙げられる。
しかし、耐久性の課題や大面積モジュールでの効率低下など、実用化に向けた課題も存在する。産業技術総合研究所（産総研）は、これらの課題解決に向けて、ペロブスカイト太陽電池の自動作製システムを開発し、研究開発の効率化を図っている。 

産総研の自動作製システムとその意義

産総研は、2024年10月に世界初となるペロブスカイト太陽電池の自動作製システム開発を発表した。
このシステムは、基板電極の洗浄から各種材料の積層、裏面電極の蒸着、セルの分離までを全て自動で行うことが可能である。これにより、研究者による作業誤差を排除し、太陽電池性能のばらつきを抑制することができる。

さらに、多様な作製条件での試作が可能となり、最適な作製条件の探索が効率的に行えるようになった。
これらの自動化により、作製効率は従来の10倍以上に向上し、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化と高性能化に大きく貢献することが期待される。 

ペロブスカイト太陽電池の最大の利点は、その軽量性と柔軟性である。
これにより、従来のシリコン太陽電池では設置が難しい場所でも利用可能となる。
さらに、高い変換効率を持ち、製造コストが低いため、経済的な観点からも魅力的である。

産総研が開発した自動作製システムにより、作製効率が従来の10倍以上に向上したことは、研究開発のスピードを加速させる要因となるだろう。これにより、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化が期待される。

一方で、ペロブスカイト太陽電池には耐久性の課題が残る。
特に、環境要因による劣化が問題視されており、長期間の使用に耐えるための技術的な解決が求められる。また、大面積モジュールでの効率低下も実用化の障壁となっている。

耐久性向上への取り組みと今後の展望

ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けては、前述のように、耐久性の向上が重要な課題である。
国立研究開発法人物質・材料研究機構（NIMS）は、2024年2月に、光電変換効率20%以上を維持しながら、60℃の高温環境下で1000時間以上の連続発電に耐えるペロブスカイト太陽電池を開発した。
この成果は、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた大きな前進と言える。 

産総研の自動作製システムとNIMSの耐久性向上技術を組み合わせることで、ペロブスカイト太陽電池のさらなる高性能化と早期実用化が期待される。
これにより、再生可能エネルギーの普及が加速し、持続可能な社会の実現に寄与することが見込まれる。

今後の研究開発の進展により、ペロブスカイト太陽電池が市場において重要な役割を果たすだろう。
このような技術革新が進むことで、持続可能なエネルギーの未来が一層明るく照らされることが期待される。