NECのDX事業「BluStellar」好調に推移 ITサービス事業の3分の1を占め「ITからDXへの転換」へ

2025年2月27日に行われた記者およびアナリスト向けの説明会で、NECが推進するデジタルトランスフォーメーション(DX ※1)事業「BluStellar」が、同社のITサービス事業の約3分の1を占めるまでに成長していることが明らかにされた。
BluStellarの概要と従来型ITサービスとの違い
NECの「BluStellar」は、顧客を未来へ導く価値創造モデルとして位置づけられている。
このモデルは、「ビジネスモデル」「テクノロジー」「組織/人材」の3つの要素で構成されている。 これらを組み合わせることで、顧客のビジネスモデルに対し、NECのテクノロジーとそれを支える人材を提供している。
従来のITサービスでは、個別の顧客に対して製品やサービスを提供していた。 しかし、「BluStellar」では、過去の実績やナレッジを「Scenario(※2)」に集約し、顧客の経営課題を解決するためのコンサルティングからデリバリー、運用、保守までを一貫して提供する。
顧客起点のアプローチと今後の展望
NECは、DX事業を推進するにあたり、顧客の課題解決に焦点を当てたシナリオ作りに注力している。 単にオファリングを前面に出すのではなく、顧客のニーズに応じたシナリオを提供することが、受け入れられる鍵であると考えられている。
NECは「BluStellar」を中期経営計画達成に向けた成長エンジンと位置づけ、DX事業をさらに加速させる意向である。
ビジネスとR&Dのシームレスな連携が強化されることで、技術の実用化までの時間が短縮され、競争優位性を維持できるかが注目される。
また、顧客起点のアプローチが継続されることで、「Scenario」の精度向上が求められる。過去の成功事例を活かしながらも、画一的な提案に陥らず、個々の企業の実情に応じた柔軟な対応を維持できるかがポイントになりそうだ。
グローバル展開の成否も見逃せない。国内市場では一定の成長が見込まれるが、海外市場でのDX競争は熾烈であり、競合企業との差別化が必要になる。NECがどこまで外部パートナーとの協業を進められるかによって、「BluStellar」の国際的な評価が左右されると考えられる。
総じて、NECのDX事業は順調に進んでいるものの、組織運営の柔軟性やグローバル市場での競争力といった課題を克服する必要がある。今後の動向に注視したい。
※1 デジタルトランスフォーメーション(DX):デジタル技術を活用して、組織の業務プロセスやサービス、さらには文化そのものを変革し、新たな価値を創出すること。
※2 Scenario:顧客が抱える課題を解決するための価値創造シナリオ。これに基づき、コンサルティングや製品、サービスを組み合わせて提供する。