インド・ハイデラバードの国際会議で製薬業界のAI導入が注目を集める

2025年2月26日、インド・ハイデラバードで開催されたライフサイエンスとヘルスケアに関する国際会議において、製薬業界への人工知能（AI）の導入が主要な議題となった。参加者は、AIが医薬品開発や治験プロセスの効率化にどのように寄与するかについて活発に議論した。一方で、米国の関税政策がインドの医薬品輸出に与える影響についても懸念が示された。

AIがもたらす製薬業界の革新と具体的な活用事例

会議では、米国のバイオ医薬品企業アムジェンや契約製造業者であるパレクセルなどが、AIの活用による医薬品開発の迅速化とコスト削減の可能性を強調した。
パレクセルは、AIモデルを試験的に導入し、医薬品の安全性報告書の作成時間を従来の手作業よりも30～45分短縮することに成功したと報告した。このAI生成の報告書は、専門家によって検証されるという。

さらに、AIを活用することで医薬品の開発期間とコストを半分にできる可能性があると、コンサルティング会社EYのパートナーであるチャイタニャ・ロユル氏は述べた。具体的な活用分野として、新薬候補分子の発見や既存薬の新たな適応症への転用が挙げられる。

また、医療画像の読影においてもAIが活用され、医師が見逃しがちな小さな異常を検出する支援を行っている。消化器医療の専門家は、X線画像で見逃されがちな小さな癌をAIが指摘し、後にその部位に癌が発生した事例を紹介した。

米国の関税政策がインドの製薬業界に及ぼす影響と業界の対応

一方、ドナルド・トランプ米大統領が医薬品輸入に関税を課す計画を示唆したことが、インドの製薬業界に不安をもたらしている。
インドは米国への主要な医薬品輸出国であり、特にジェネリック医薬品の供給で重要な役割を果たしている。

しかし、ドクター・レディーズやピラマル・ファーマなどの製薬企業は、関税の詳細や移行期間についての情報が不足しているため、現時点では状況を見守る姿勢を示している。

ピラマル・ファーマの会長であるナンディニ・ピラマル氏は、「現時点では、関税の有無やその内容、移行期間について明確な情報がないため、様子を見ている」と述べた。

このように、AI技術の導入が製薬業界に革新をもたらす一方で、国際的な政策変動が業界に新たな課題を投げかけている。

製薬業界におけるAIの活用はますます進展する見通しであり、今後の展望は明るいが、慎重な姿勢が求められる時期であると言える。

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