NFTFiとは?元祖NFTfi .comでERC20トークンを融資できるか解説
この記事では「NFTFi」について、NFTFiの元祖であるNFTfi.comを解説することでその課題と可能性を深堀します。
NFTFiとは?
「NFTFi」は、NFTを担保に仮想通貨を借りたい人と貸したい人をマッチングする仕組みです。NFT + Financeを組み合わせて作られた造語です。
NFTFiの概念を最初に打ち出したプラットフォームが「NFTFi.com」というサービスです。その後「NFTFi」という単語(概念)そのものが広がり、NFTFiジャンルでのサービスが生まれ始めました。
少しややこしいですが、DeFiというサービスが存在しているというイメージで、「NFTFiの概念を生み出した元祖NFTFiサービス”NFTFi.com”」と「NFTFiという概念」が存在しています。
ここではNFTFtiの元祖「NFTFi.com」の事例を用いながら、その仕組みと課題を解説します。
NFTfi.comの概要
NFTFi.comはNFTFiの元祖となるサービスで、NFTを担保に仮想通貨を借りたい人と貸したい人をマッチングするプラットフォームです。
150 を超えるNFT コレクション(CryptoPunks、Bored Apes、Art Blocks、Mutant Apes、VeeFriends、Autoglyphs、およびその他のほとんどのブルーチップを含む)が担保となるNFTに対応しており、それらのNFTを担保に、wETH、USDC、DAIを借りることができます。
その仕組みはこうです。
1、まずNFTの貸し手(=仮想通貨の借り手)が担保となるNFTを選択
2、貸し出し条件(利子や返済期間、担保となるNFTの買取価格)を設定し、NFTローンを作成
3、NFT借り手(=仮想通貨の貸し手)は条件に合うNFTローンを探し、契約
4、設定した条件通りにスマートコントラクトが実行され、NFTの貸し手(=仮想通貨の借り手)に仮想通貨が送金
5-1)期日通りに利息付きで返済された場合:NFTの貸し手(=仮想通貨の借り手)は担保としていたNFTのロックが外れ自分の手元に戻ってくる。NFT借り手(=仮想通貨の貸し手)は利息付きで仮想通貨が送金される。
5-2)期日通りに利息付きで返済されなかった場合:NFTの貸し手(=仮想通貨の借り手)は担保としていたNFTの所有権を失う。NFT借り手(=仮想通貨の貸し手)は担保となっていたNFTの所有権を獲得する。
この一連の手続きをP2Pで実行できるマッチングプラットフォームが「NFTFi」です。利息や返済期日等、細かい条件は全てユーザー間で決定され、利息の5%をプラットフォーム手数料としてNFTFiに支払います。
例えば、CryptoPunksを担保に1,000万円分のETHを借りたいとします。
2ヶ月で返済、利息6%とし、2ヶ月後に1,010万円分のETHで返済するNFTローンを組むことにしました。この場合、仮想通貨の貸し手(=NFTの借り手)は「2ヶ月間で1,000万円分のETHが1,010万円分になる」か「返済されなかったとしても、1,000万円分のETHでCryptoPunksのNFTが手に入る」のどちらかの選択肢でも大丈夫な場合に、このNFTローンを契約します。
NFTを担保にするとはそういうことで、通常の担保と同じく、返済ができない場合に所有権を失います。なので、仮想通貨の貸し手は「返済されてもお得で、返済されなくてもその値段でこのNFTが獲得できるならお得かも」という考えで仮想通貨を貸し出します。
逆に、NFTローンを組む側(NFTを担保に仮想通貨を借りる側)は価値がある高額のNFTを保有していれば、すぐに仮想通貨の借入をすることが可能となります。そして、その利息を超える利回りで運用できるNFTやDeFiを知っていれば、借り入れた仮想通貨で利息以上の運用が可能となります。
このように、NFTを担保に仮想通貨の貸し借りをすることでお互いにメリットをもたらすプラットフォームがNFTFiです。
2021年10月には、約140万ドル(約1.6億円)のレンディングが行われたことを発表し、1つのNFTを担保とした融資額としては、過去最高を記録しました。
【NFTFi】NFTレンディングでNFTの流動性問題を解決する
では、このNFTFiが解決する課題とはなんでしょうか。
NFTFi誕生の背景にあるキーワードは「流動性」です。
現在、NFTプロジェクトの中には数百万円から数千万円を超えるような作品が存在し、投資対象や資産としても見られることも増えてきました。
しかし、その際に問題となるが「NFTの流動性の低さ」です。
「流動性」というのは、読んで字の如く「流れる」「動く」「性質」であり、売買のしやすさ、所有権の移転のしやすさのことを指します。
例えば、グッチやシャネル等の高級ブランドは二次流通市場が盛り上がりを見せています。欲しい人が常に存在しているので、買い取ったブランド品がすぐに完売することも多いです。そういった二次流通市場が盛り上がっていると、直接ブランドショップから購入する際にも「使わなくなったら売ればいい」という考えで購入が促進されます。多少値下がりしたとしても、高級ブランドであれば暴落することはあまりないので買う側も安心して購入できます。
これが「流動性が高い状態」であり、流動性が高い商品は価格の暴落が落ちづらいです。逆に流動性が低いと買った後に売却しづらいので高額な商品ほど購入を躊躇います。結果的にその商品の価格を下げて販売することにも繋がり得ます。
NFTに話を戻します。
NFTは基本的に全てが一点物なので、流動性が比較的低いです。1万点のCryptoPunksのこの銘柄が欲しい!という人と巡り合えないと売買が成立しません。もちろん、CryptoPunksならどれでも欲しいという人もいると思いますので、流動性が0というわけではありませんが、高級ブランドほど望んだ瞬間に即座に換金できる流動性はありません。
また、売却するつもりはない人からすれば、保有しておくだけで運用運用ができない存在でもありました。
そこを解決し、NFTに流動性をもたらす存在が「NFTFi」です。
自分が保有するNFTを担保にお金を借りることができるので、即座に換金することができます。”即座”といってももちろん条件がマッチすればですが、NFTfiにおいて仮想通貨の貸し手側は利息で稼げるメリットがあるため、利息や返済期間等の条件さえマッチしていれば、興味のないNFTが担保にされている場合でも貸し借りが成立する可能性があります。そのため、一点物でマッチングしなければ換金できなかった時よりも明らかに高い流動性となり得るわけです。
また、資産として持っているNFTを運用することが可能となり、NFTのユースケースを益々広げる存在となり得ます。
NFTfi.comの課題
最後に、画期的な仕組みに見える「NFTFi.com」の課題についても解説します。
○P2P取引のため、個人のリテラシーが必須となる
これはDeFiでも言われていることですが、NFTFi.comはあくまでマッチングプラットフォームであるため、個人間で契約内容の全てを決定することが可能です。
これは利息・返済期間・返済総額の全てを個人間で決定できるということで、今までにない自由な取り決めが当事者間で行えるというメリットでもありますが、やはり第三者によるチェックが存在しないので、お互いにリテラシーがないと一方が損をする事態が起こり得ます。
一番の焦点は「返済金額と利息の妥当性」と「担保とするNFTの現在価値の見積もり」です。貸し手も借り手もお互いにリサーチした上で納得いく取引を行う必要があります。また、一度締結した契約はスマートコントラクトに刻まれ、自動履行されるので、契約締結後の変更はかなり大変になりますので注意が必要です。
○NFT・仮想通貨のボラティリティが激しいため契約の妥当性の判断が難しい
現時点では、仮想通貨の値動きが激しいため、数ヶ月前に設定した利息や返済総額が妥当ではなくなる可能性があります。例えば、貸し出し時点でついていたNFTの価値が数ヶ月後には半分になってしまった際には、NFTを担保に入れた側は仮想通貨を返済せずにNFTの所有権を相手に渡した方がお得と考えるかもしれません。
この辺りは難しい問題ですが、P2Pでやる以上、構造上起こりえる問題と言えます。
○法規制がどうなるのか
NFT業界全体がどのような法規制が施行されるのかが不透明な状況の中で、今後NFTFiに対してもなんらかの規制が入る可能性がある。現行の法律に照らし合わせたときに、NFT担保に仮想通貨を借りることは果たしてどうなるのか、しかもそれをグローバルでP2Pで行える仕組みに対して、この市場が盛り上がれば盛り上がるほど国家としては無視できない取り組みとなる。そのため、今後も注意して確認していく必要がありそうです。
以上、ここまで「NFTFi.com」の事例を用いながら、NFTFiについての解説をしてきました。今後より拡大していく市場だと見込まれるので、引き続き注視していきたいです!
Plus Web3は「Web3領域に特化したキャリア支援サービス」
Plus Web3では、Web3で働きたい人材と、個人に合わせた優良企業をマッチングする求人サービスを行っています。
- Web3で働くことも考えている…
- Web3のインターン先はどこがいいか分からない…
- どんな知識やスキルがあれば良いのか分からない…
このような悩みを抱える人は、一度「無料キャリア相談」にお越しください。あなたにマッチした優良企業をご紹介いたします。
参考文献
本記事に使用した文献は以下になります。