元OpenAI CTOミラ・ムラティ氏、新会社「Thinking Machines Lab」を設立

2025年2月18日、元OpenAIの最高技術責任者（CTO）であるミラ・ムラティ氏が、新たな人工知能（AI）スタートアップ「Thinking Machines Lab」を設立したことを発表した。この新会社には、OpenAIの元幹部を含む複数のメンバーが参加しており、AIと人間の協働を強化するシステムの開発を目指している。

「Thinking Machines Lab」の設立とその背景

ミラ・ムラティ氏は、OpenAIでCTOを務め、ChatGPTやDALL-Eなどの主要プロジェクトを指揮してきた実績を持つ。2024年9月にOpenAIを退社した後、独自のAIスタートアップを立ち上げる意向を示していた。新会社「Thinking Machines Lab」は、2025年2月18日に設立され、ムラティ氏が最高経営責任者（CEO）に就任した。

同社の設立には、OpenAIの特別プロジェクト部門トップであったジョナサン・ラックマン氏や、研究担当バイスプレジデントだったバレット・ゾフ氏など、多数の元OpenAIの研究者やエンジニアが参加している。彼らは、AIの次世代技術に関する深い専門知識を持ち、革新的な技術の開発に貢献してきた人物ばかりだ。

また、Thinking Machines Labの設立は、単なる新興AI企業の誕生ではなく、AI技術の方向性を再定義する試みでもある。特に、人間との協調を重視するというコンセプトは、完全自律型AIを目指す従来の潮流とは一線を画すものだ。
ムラティ氏は、より直感的で信頼できるAIを構築することを目指し、ユーザーがより深くAIを理解し、活用できるようにすることを重視している。

さらに、同社は世界各国のAI研究機関との連携を模索しており、学術研究の知見を実用化に結びつける体制を整えつつある。この動きは、既存のビッグテック主導のAI開発とは異なり、よりオープンで分散的な研究環境を提供することを意図している。

「Thinking Machines Lab」のビジョンと今後の展望

「Thinking Machines Lab」は、AIシステムと人間の協働を強化し、個々のニーズに合わせてAIを活用できる未来の構築を目指している。
具体的には、テキスト、音声、ビデオなどのマルチモーダルデータを扱えるAIモデルの開発や、AIシステムの理解とカスタマイズ性を高めるためのオープンサイエンスの推進に注力する見込みだ。

また、研究と製品開発を一体化させ、実世界での適用から得られる知見を迅速に反映する体制を整えている。資金調達面では、約10億ドル以上の資金を調達する可能性が報じられており、今後の動向が注目される。

さらに、同社は技術的な透明性を重視し、開発過程を積極的に公開していく方針だ。これは、学術研究のオープンアクセス化に貢献するとともに、広範な技術コミュニティとの連携を促進する狙いがある。オープンサイエンスの推進により、外部の研究者や開発者が同社の技術を活用し、新たな応用分野を開拓するのではないかと期待されている。