Apple、「Vision Pro」に高度なAI機能追加へ　4月頃の搭載を予定

米アップルは2025年2月15日、複合現実（MR）対応のゴーグル型端末「Vision Pro」に、独自の人工知能（AI）機能「Apple Intelligence」を追加すると発表した。この機能は空間コンテンツアプリと連携し、利用者の利便性を向上させることが期待される。開発者向けのベータ版は2月16日からの週に提供され、一般向けには2025年4月にもリリースされる見込みだ。

「Apple Intelligence」の特徴と市場への影響

「Apple Intelligence」は、Vision Pro向けに開発された新たなAI機能であり、ソフトウェアのアップデートを通じて提供される。主な機能には、ライティングツールのインターフェイス、オリジナル絵文字ツールの「Genmoji」、画像作成アプリの「Image Playground」が含まれる。これらの機能は、ユーザーがより直感的にコンテンツを作成できるよう設計されており、特にクリエイターやプロフェッショナル向けの活用が見込まれている。

市場におけるアップルの動きは、競争の激化を背景にしている。Vision Proは2024年2月に米国で発売され、価格は3499ドルからと高価格帯に位置する。
一方で、米メタ・プラットフォームズの「クエスト」シリーズは、より低価格で提供されており、消費者の選択肢の幅を広げている。
このような状況下で、アップルはAI機能を付加価値として打ち出し、Vision Proの市場競争力を強化しようとしている。

ユーザーへの影響と今後の展開

「Apple Intelligence」の導入により、ユーザー体験は大きく向上すると考えられる。例えば、ライティングツールを活用すれば、MR空間内でのメモ作成やドキュメント編集が容易になり、効率的な作業環境を実現できる。
また、Genmojiは、ユーザー独自の絵文字を生成する機能で、コミュニケーションの幅を広げる。さらに、Image Playgroundによる画像作成機能は、視覚的なコンテンツ制作を支援し、創造性を刺激する可能性がある。

今後の展開として、アップルはさらなるAI機能の拡充を進めると考えられる。特に、音声認識やジェスチャー操作との連携が強化されれば、MR（※）体験は一層直感的なものとなるだろう。

市場では、AIとMR技術の融合が進み、より高度なインタラクションが可能になることが予測される。アップルは、こうした技術革新を通じて、MR市場のリーダーとしての地位を確立しようとしていると考えられる。

※MR（複合現実）：仮想現実（VR）と拡張現実（AR）を融合させた技術。現実世界とデジタル情報を組み合わせ、インタラクティブな体験を提供する。