暗号資産大手のテザー社 イタリアの名門ユベントスFCへ投資

2025年2月14日、暗号資産の発行で知られるテザー社がイタリアの名門ユベントスFCへ投資したとのニュースが海外から届いた。ここでは、その概要と波及する影響を概説する。
投資の背景とユベントスへの影響
テザー社は安定通貨USDT(※)を発行する企業として知られ、暗号資産業界で大きな存在感を持っている。今回、同社の投資部門であるテザー・インベストメンツがユベントスFCの少数株式を取得したと伝えられ、市場関係者の関心が集まっている。
具体的な投資額や株式の割合は明らかにされていないが、発表直後にユベントスの株価は2.5%上昇し、同クラブのファントークンであるJUVも一時200%超の急騰を示した。その後は調整局面を迎え、24時間後には120%前後の伸びに落ち着いている。
テザー社は昨年130億ドルの利益を計上し、人工知能や新たな決済技術、エネルギー分野などへの積極的な投資を続けてきた経緯がある。CEOのパオロ・アルドイノ氏は、デジタル資産とスポーツを融合させることでグローバルなイノベーションが生まれる可能性を示唆している。
ユベントスは欧州屈指のビッグクラブとして認知度が高く、その熱心なファン層と国際的ブランド力が、暗号資産市場への相乗効果を期待させる要因といえよう。
ファントークン市場への波及と今後の展望
今回の投資はユベントスだけでなく、他クラブのファントークンにも影響を及ぼしている。S.S.ラツィオやFCポルトのトークン価値が10%を超える上昇を見せ、トッテナム・ホットスパーFCやパリ・サンジェルマンFC、ナポリなども相次いで値上がりした。
スポーツ界と暗号資産の連携は今後さらに進展するとの見方が強まり、大手クラブがデジタルサービスを積極活用してファンとの結びつきを強化するシナリオも描かれている。
投資家やアナリストの間では、テザー社のような企業による戦略的パートナーシップがファントークン市場を加速させ、スポーツビジネスの収益源を広げる契機となるのではないかという声がある。
ファントークンは、得票や限定コンテンツなどを通じてファン参加型の仕組みを提供するため、今後も多方面で活用領域が拡大すると考えられる。特にオンラインでのコミュニティ形成を重視する若年層がこの動きを支持すれば、スポーツビジネスの在り方を根本から変革する一因になるだろう。
※安定通貨USDT:米ドルに担保を置くことでその価値を1ドルに固定する仕組みを採用したステーブルコインであり、価格変動のリスクを相対的に低減するよう設計されている。発行主体による担保管理と定期的な監査がその信頼性を支えている。
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