宮崎県、全公立小中学校にAI学習教材導入へ　2025年度から約2万人が対象

2025年度、宮崎県は県内すべての公立小中学校に人工知能（AI）を活用した学習教材を導入することを発表した。本取り組みは、児童生徒の苦手分野克服を支援し、学力向上を目指すものだ。小学5年生と中学2年生の約2万人の児童生徒が対象となり、導入は政府の「GIGAスクール構想」に基づいて行われる。

AI教材導入の背景と目的

宮崎県は全国学力・学習状況調査において、小学6年生は全国平均並みであるものの、中学3年生の成績は全国平均を下回っている。特に小学5年生と中学2年生の学力向上が課題とされており、この状況を改善するため、AI学習教材の導入が決定された。

AI学習教材を導入することには、いくつかの利点がある。

まず、AI教材は学習確認テストの結果をリアルタイムで分析し、児童生徒の苦手分野を特定する仕組みを持つ。その結果をもとに、個々の学習ニーズに合わせた補充問題や発展問題を自動的に提供することで、個別最適な学習を実現する。

さらに、教員はAIが進捗を管理することで、指導や対話により多くの時間を割くことができ、負担軽減や教育の質の向上が期待されている。

この取り組みは「GIGAスクール構想」※に基づいており、すでに配布済みのタブレット端末を活用する。2025年度予算案には約3100万円が計上され、費用は教材導入および運用に充てられる。

※GIGAスクール構想：政府が推進する教育ICT化の取り組みで、小中学生1人1台の端末環境を整備するプロジェクト。

今後の展望と宮崎県の目標

宮崎県は、中学3年生の学力を全国平均以上に引き上げることを目指しているため、定期的な学力調査やアンケートを通じて効果を測定し、必要に応じて改善策を講じることが求められるだろう。

県教育委員会は、児童生徒の学習意欲向上と教員の指導効率化の両立を重視しており、AIの活用を通じて「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現を目指すとしている。

また、AIの進化に伴い、教材の内容や機能も進化する可能性がある。
今後は、AIがより高度な分析を行い、児童生徒の学習スタイルや興味に基づいたカスタマイズが進むことが期待される。これにより、学習意欲の向上や、より深い理解を促進することができるのではないかと考えられる。

教育現場におけるAIの活用が進むことで、全国的な教育の質の向上にも寄与する可能性がある。宮崎県の取り組みが成功すれば、他の地域でも同様の施策が広がり、全国的な学力向上につながることが期待される。

教育の未来において、AIが果たす役割はますます重要になるだろう。