日本オラクルとNRI、AIとセキュリティの新時代を切り開く
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2025年2月、日本オラクルと野村総合研究所(NRI)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進のため、セキュリティサービスとAI実行環境を提供する新たな取り組みを発表した。NRIのデータセンターに「Oracle Alloy」を導入し、サイバーセキュリティとAI活用を強化する。これにより、クラウド活用に慎重な企業にも新たな選択肢が提供される。
Oracle Alloy導入とNRIの新たなセキュリティ戦略
日本オラクルの「Oracle Alloy(※)」は、NRIの東京・大阪のデータセンターに導入され、150以上のクラウドサービスを提供する基盤として機能する。この導入により、NRIはクラウドのセキュリティ要件に厳格な日本市場に適応した新サービスを展開する。
NRIは2025年度上期に「NRIデジタルトラスト(仮称)」を開始予定だ。このサービスは、システムライフサイクル全体でのセキュリティ対策を提供し、サイバーセキュリティとオペレーショナルレジリエンスを確保することを目的とする。
具体的には、以下の3つのコンポーネントが含まれる。
1つ目は「セキュリティビルトインクラウド」であり、IT基盤構築とセキュリティ運用を統合し、安全なクラウド環境を提供する。
2つ目は「セキュア開発プラットフォーム」で、セキュリティを標準実装しつつ、生産性と統制を強化する。
3つ目は「サイバーフュージョンセンター」で、24時間365日の脅威監視と迅速な対応を実現する。
このような包括的なセキュリティ対策により、企業のDX推進が加速されることが期待される。
※
Oracle Alloy:日本オラクルが提供するクラウドインフラ基盤。企業が独自のクラウド環境を構築し、セキュリティを強化できる点が特徴。
AIプラットフォームの強化と金融業界への影響
NRIはデータセンターにNVIDIA製GPU(※)を導入し、生成AIや大規模言語モデル(LLM)の処理能力を向上させる。この技術基盤は、特に金融業界向けに「NRI金融AIプラットフォーム(仮称)」として提供される予定である。金融機関のデータ主権要件を満たしながら、高度なAI活用を支援する。
また、Oracle Alloyの活用により、NRIの金融SaaS基盤が拡張される。
これにより、クラウドの利用に慎重な金融機関も、高度なセキュリティを維持しつつクラウドサービスを活用できる環境が整う。特に、日本市場ではパブリッククラウドの利用に慎重な企業が多いため、この新たな取り組みは市場の変革を促す可能性が高い。
一方で、クラウドサービスの利用に対する不安感が根強い企業に対しては、どれだけの効果があるかを証明する必要がある。特に、セキュリティ対策が不十分な場合、逆にリスクを増大させる恐れもあるため、慎重なアプローチが求められる。
今後、日本オラクルとNRIの協業は、セキュリティとAIを基盤としたデジタル戦略の新たな方向性を示すものとなるだろう。特に、2025年度上期に予定されている「NRIデジタルトラスト」の開始は、企業のDX推進を加速させる重要なステップとなると考えられる。
このサービスが成功すれば、他の企業も同様の取り組みを模倣する可能性が高く、日本市場全体のクラウド活用が進むことが期待される。
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NVIDIA製GPU:NVIDIAが開発した高性能グラフィックス処理ユニット。生成AIやデータ解析の処理能力を大幅に向上させる技術として利用される。
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