AI創薬の最前線、XtalPiが香港上場で180億円調達
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深センに拠点を置く人工知能(AI)や量子技術を活用したデジタル創薬のスタートアップ、XtalPi(晶泰科技、クリスタルパイ)が、2024年6月に香港取引所に上場し、9億香港ドル(約180億円)を調達した。
AI創薬分野のフロントランナーとして、新薬開発の加速に貢献することが期待される。
XtalPiの上場と資金調達 AI創薬の新たな幕開け
XtalPiは、AIと量子力学を駆使して新薬開発を加速させる技術を開発している。
2015年にマサチューセッツ工科大学(MIT)出身の量子物理学者、温書豪(ウェン・シュハオ)らによって設立され、設立以来、累計で7億3200万ドル(約1152億円)を調達しており、AI創薬のスタートアップとしては業界トップの資金力を誇る。
今回の香港上場では、9億香港ドルを調達し、上場後の時価総額は約248億香港ドル(約4830億円)に達した。主な投資家には、テンセント、グーグル、ソフトバンクなどが名を連ね、上場前の評価額は約20億ドル(約3148億円)であった。
XtalPiの技術と事業戦略 創薬の未来を拓く
XtalPiは、米国の製薬大手であるファイザーやジョンソン・エンド・ジョンソンなどを顧客に持ち、創薬支援技術を提供している。特に、AIを用いた創薬プロセスの迅速化に成功しており、通常数年かかるプロセスを数週間に短縮することができた。
この技術は、2021年にファイザーの新型コロナウイルス治療薬「パクスロビド」の開発にも寄与した。同社は、AIと量子力学を活用して新薬の候補となる分子を迅速に特定する技術を持ち、これにより創薬プロセスの効率化に大きく貢献している。
上場後の株価は上昇しており、投資家からの関心も高い。
今後は、電気自動車用バッテリーや新素材の開発にも事業を拡大する計画であり、その技術の応用範囲はさらに広がると予想される。
XtalPiの技術は、今後さらに進化し、創薬の標準的な手法の一部となる可能性が高い。
特に、大手製薬企業との提携が進めば、AIを活用した創薬の事例が増え、業界全体の変革を促すことになるだろう。
加えて、同社は医薬品以外の分野にも応用を広げる計画を進めており、電気自動車用バッテリーや新素材の開発にも参入する見通しだ。これは、AI技術の多様な応用を示す重要な動きであり、XtalPiの事業領域拡大につながると考えられる。
しかし、AI創薬が完全に普及するには、技術の成熟だけでなく、規制の整備や社会的な受容も必要だ。各国の規制機関がAI創薬に対してどのようなスタンスを取るかが、今後の発展を左右する要因となるだろう。
XtalPiの香港上場は、AI創薬の成長を象徴する出来事であり、今後も資本市場からの注目を集めるだろう。ただし、技術的・規制的な課題を克服できるかが、持続的な成長の鍵となる。今後の動向次第では、医薬品開発の在り方そのものが大きく変わるかもしれない。
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