NEC、DXブランド「BluStellar」に自律型AI本格導入 2030年に国内構成比7割目指す

2025年5月30日、NECは価値創造ブランド「BluStellar」を軸にDX事業の強化を発表した。生成AI「cotomi」や自律型エージェントAI技術を活用し、業種特化型シナリオを拡充。2030年度には国内ITサービスの構成比7割達成を目指す方針を明らかにした。
生成AI起点にBluStellar高度化とグローバル展開を本格化
NECは、独自の価値創造モデル「BluStellar」を中核に据え、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業の進化を図ることを発表した。
2024年に発表されたBluStellarは、AIやセキュリティ、クラウドなど約500種の「プロダクト&サービス」と、業務に即した約150種の「オファリング」、そして30種の業種別シナリオ「シオリオ」からなる三層構造を特徴とする。
今回の発表では、NEC独自の生成AI「cotomi」と、業務特化型のエージェントAIを組み合わせた「BluStellar Scenario」を高度化する方針が打ち出された。
これにより、製造業や航空宇宙、金融、ガバメントなど、業界横断的な業務プロセスの効率化と革新を実現するという。
また、25年以上の関係を持つIFSとの協業により、安全なクラウド基盤の提供を強化。NECグループ各社とも連携を深め、国内外での展開を進める。
発表においては、セブン-イレブンの次世代店舗システム構築や、ガバメントクラウドの迅速な導入支援など、具体的な導入事例も成果として示された。
エージェントAIとコンサル連携でDX本格稼働へ 収益性も改善狙う
NECは今後、「BluStellar シナリオの拡充」「同シナリオの高度化」「成長を支えるコア技術の強化」の3方向で進化を図る。
2025年度中には15領域すべてにエージェントAIによるシナリオ展開を完了を予定。
TNFDレポート作成業務では、92%の読み込み工数削減という実績も示されており、今後の拡張性と即効性への期待が高まる。
加えて、Miroとの協業による「Human×AI コラボレーション」も開始し、コンサルタントとAIが共創的に業務課題を解決していく体制を構築中だ。
収益面でもBluStellarは順調に成長しており、2024年度には売上収益5,424億円、営業利益率12.2%を達成。2025年度には売上6,240億円、営業利益率13.2%を見込む。
国内ITサービスにおけるBluStellarの構成比は、2024年度に32%、2025年度には37%を予定しており、最終的には2030年度までに70%を目標とする。
ただ、AI倫理事故・大規模サイバー攻撃・人材流出が顕在化した場合、ブランド毀損と顧客離脱が連鎖しかねないというリスクもある。
BCPとガバナンスを一層強化し、投資家コミュニケーションを透明化する姿勢が不可欠となるだろう。