ゲームストップが4710枚のBTC取得 新財務戦略にビットコイン活用

2025年5月28日、米ゲーム小売大手のゲームストップがビットコイン(BTC)を4710枚購入したと発表した。今年3月に表明した財務戦略の一環で、転換社債による資金調達後としては初の大規模取得となる。総額は約738億円に相当すると見られている。
ゲームストップ、財務資産としてBTC4710枚を取得
米国企業ゲームストップは5月28日、暗号資産ビットコイン(BTC)を4710枚購入したと明らかにした。購入単価は開示されていないが、5月29日午前9時時点の市場価格を基にすると、総額はおよそ5億687万ドル(約738億円)にのぼると試算できる。
この発表を受けて、28日の市場前取引では同社株が一時4.4%上昇したものの、その後は下落に転じ、終値は前日比で10.85%の大幅安となった。
ゲームストップは3月25日、取締役会がビットコインを財務準備資産として保有する方針を全会一致で承認していた。この動きを受けた26日の株価は前日比16%高を記録。
さらに27日には、ビットコイン取得を含む企業活動資金として13億ドル規模の転換社債(※)を私募で発行すると発表した。
しかしこの資金調達策は市場から不安視されたようで、同日の株価は25%近く急落した。
最終的に、追加購入権であるグリーンシューオプションも全額行使され、ゲームストップの調達総額は15億ドル(約2172億円)に達した。
今回のビットコイン購入は、この資金を活用した初の本格的な暗号資産導入であるとみられる。
※転換社債:あらかじめ定められた条件で株式に転換できる社債。企業が資金を調達する手段のひとつであり、債券としての安全性と株式としての成長性を併せ持つ。
BTC保有の戦略的狙いと不安定な株価の行方
ゲームストップのビットコイン購入は、企業財務における暗号資産活用の象徴的事例として注目できる。
テスラやマイクロストラテジーに続き、大手上場企業がビットコインを財務資産として採用する動きが再び加速する可能性があることが窺える。
暗号資産の導入には、インフレ対策や資産多様化などのメリットがある。
特に、伝統的な現金や国債と異なり、ビットコインは中央集権的な管理を受けない資産として、長期保有に適している側面もある。
一方で、価格変動が極めて激しいビットコインを大量保有することは、企業の決算に大きな影響を及ぼしかねない。今回の株価下落も、ビットコイン購入という戦略自体に対する市場の疑念を映し出したものとも言える。
今後は、ゲームストップがどのようにビットコインを管理し、どの程度まで追加取得を行うかに注目したい。
暗号資産が企業財務において「保守的な選択肢」となり得るのか、その実験的側面を持つ事例として、今後も注視が必要である。