GMOメディア、PDFから30秒でCBT問題化 教育現場の作問業務をAIで自動に

2025年5月26日、GMOメディア株式会社は、教育機関向けの課題作成サービス「コエテコStudy byGMO」に、PDFからCBT問題を自動生成する新機能「問題AIインポーター」を追加した。
紙の試験問題が30秒でCBT化 AIが構造を自動解析
GMOメディアが提供する「コエテコStudy byGMO」に、新たなAI機能「問題AIインポーター」が搭載された。
PDFファイルをアップロードするだけで、AIが問題文・選択肢・図表などを解析し、最短30秒でCBT(Computer Based Testing)形式に変換できる。
従来、教育現場では過去の演習問題や定期テストが紙で保管されており、CBT化には手動での文字入力や設問の再設定が必要だった。これに対し同機能は、作問の工数を大幅に削減できる点が強みだ。
特に「情報Ⅰ」科目では、教員の専門知識不足や教材準備の難しさが課題となっていたが、今回のアップデートにより、教科書に準拠した約4,000問のCBT問題が即座に生成できるようになった。
さらに、トピックを入力するだけでAIが会話形式の長文穴埋め問題を作成する「問題AIジェネレーター」も利用可能だ。
この新機能は、有償プラン利用中のユーザーに対して追加費用なしで提供されている。
教育現場の負担軽減へ AI活用で教材準備が平準化も
AIによる自動作問は、教育現場に多くの利点をもたらすと期待できる。
第一に、従来手作業に頼っていたCBT問題の作成が省力化されることで、教員の業務負担は大幅に軽減するだろう。その分の時間やリソースを、指導や評価に振り向けやすくなることは、教育の質向上にもつながる可能性がある。
また、プログラミングや情報科目のように専門性が求められる領域では、教材の標準化と平準化にも貢献し得る。属人的な教材準備に依存しない体制が整えば、教員不足が深刻な学校でも一定の水準を保つことが可能になるはずだ。
実際に、東京都立三鷹中等教育学校の教員・能城茂雄氏は「既存のLLM(※)サービスを使って問題を文字起こしするよりも、学校で扱うような問題のデータ化にフィットしている。今まで作った問題をデジタル化するときの労力削減ができそう」と語っている。
実用性の高さが、現場からも評価されそうだ。
一方で、AIが誤って問題を変換するリスクや、生成された問題の質を担保する仕組みの構築は今後の課題になると思われる。特に、評価の正確性が問われる教育分野においては、教員による最終チェックは欠かせないだろう。
GMOメディアでは、毎週開催の無料ウェビナー「かんたんスタート説明会」により、導入支援を強化している。
今後は、他教科への拡張や、より柔軟な問題生成の実装も検討されるのではないだろうか。
※LLM(Large Language Model):大量の言語データをもとに学習した自然言語処理モデル。ChatGPTなどが該当。