国民民主、AIでネット情報に即応 参院選でファクトチェック導入を検討

2025年5月23日、国民民主党が今夏の参院選に向けて、人工知能(AI)を活用したファクトチェックの導入を検討していると明かした。ネット上に流れる誤情報に迅速かつ的確に反論する体制を整え、2時間以内の対応を目指す方針だ。
参院選でAIファクトチェック導入、2時間以内に反論目指す
国民民主党は、2025年夏の参議院議員選挙において、AIを活用したファクトチェック(※)体制の構築を検討している。
5月23日、JBpressのYouTube番組「西田亮介の週刊時評@ライブ」にて、同党の伊藤孝恵参院議員が明らかにした。
選挙期間中、SNSやネット掲示板などに投稿された党の政策や主張に関する偽情報・誤情報を対象とし、AIが真偽を自動判定。あらかじめ過去5年分の政策集や国会答弁などを学習させたモデルを活用し、投稿内容との整合性を分析する。
誤りが確認された場合は、原則2時間以内に党公式サイトなどを通じて反論を公開し、正確な情報の提示に努める。反論の作成と発信は、党職員や議員が担当する。
本件の背景には、昨年の兵庫県知事選や名古屋市長選における虚偽情報の拡散が、選挙結果に一定の影響を及ぼしたとされる事例があると考えられる。
国民民主は、これまでSNSを駆使した情報発信で党勢拡大を図ってきた一方で、ネット上の誤情報に対する対応が後手に回るケースもあり、AI導入によるリアルタイム対応を模索しているとみられる。
ネット選挙時代に即応力強化 AI活用の利点と課題
国民民主の試みは、AIによる選挙対策として国内政党で初の取り組みとなる可能性がある。
迅速な反論によって誤情報の拡散を最小限に抑え、透明性ある選挙環境の確保につなげる狙いがあるとみられる。
AIは人手よりも圧倒的に早く大量の投稿をチェックできるため、誤情報の早期発見が可能となる。
特に、深夜や早朝など人的リソースが限られる時間帯においても対応の継続が可能となる点は、大きな利点だろう。
ただし、AIによる判定が常に正確とは限らず、過剰な反応による逆効果や、表現の自由とのバランスといった懸念も残る。
AIモデルのアップデートや、人による最終確認を欠かさない体制構築は不可欠だろう。
伊藤氏は「選挙期間中の正しい情報は投票の礎となる。」との見解を示し、政党自らが能動的に情報を検証・発信する意義を強調している。今後の成果次第では、他党や地方選にも広がりを見せる可能性があるだろう。
※ファクトチェック:報道やSNSなどで拡散された情報の事実関係を検証し、誤りや虚偽を正す行為。選挙や災害報道時に特に重要性が高まる。