オプテージ、「Enour CallAssistant」にAI活用の感情解析と応対評価を導入 コンタクトセンター業務の質向上へ

2025年5月21日、関西電力系通信会社の株式会社オプテージは、コンタクトセンター向けオペレーター支援サービス「Enour CallAssistant」に、AIを活用した新機能「感情解析」と「自動応対品質評価」を6月末から順次導入すると発表した。現場の業務効率と精神的負荷の軽減を図る狙いがある。
AIが顧客の感情をリアルタイムで解析、応対評価も自動化
オプテージが提供する「Enour CallAssistant」は、AIによる通話テキスト化やFAQレコメンド、オペレーターのモニタリング機能などを搭載した、コンタクトセンター向けの業務支援ツールである。
今回のアップデートでは、新たに「感情解析機能」と「自動応対品質評価機能」がオプションとして追加される。
感情解析機能は、これまで主にキーワード検出に頼っていた従来型とは異なり、声のトーンや話速といった音声情報をもとに、AIがリアルタイムで話者の感情を推定する。
キーワードが発されなくとも、「怒り」や「困惑」といった感情を高精度に検知できるのが特徴だ。
さらに、感情の変化は管理者画面で即時に可視化され、顧客が不快感や苛立ちを示した際には迅速な対応が可能になる。これにより、カスタマーハラスメント(※)の早期発見と対応が期待されており、オペレーターの心理的負担を軽減する効果が見込まれている。
一方の自動応対品質評価機能では、通話データを基に言葉遣いや話し方、スピードなどをAIが定量的に評価。設定された評価基準に沿ったスコアリングが行われるため、管理者とオペレーターが共通の評価軸を持ち、納得感あるフィードバックが可能となる。
AI導入で業務の属人性を排除 精神負荷軽減と品質向上の両立へ
新機能の導入により、コンタクトセンター業務の課題である「属人性」と「ストレス負荷」の二重問題への対応が進む可能性がある。
感情解析機能によって、オペレーターの対応が行き届いているかどうか、感情面からも把握できるようになる。また、カスタマーハラスメントの兆候を検知し、管理者が介入することで、業務の過重化や人材流出を未然に防ぐ仕組みが整う。結果として、職場の健全性と働きやすさの向上が期待される。
自動応対品質評価は、これまで管理者の主観や経験に依存していた評価業務をAIで標準化し、全オペレーターに対して公平で透明性のある評価を提供する。フィードバック精度が向上すれば、教育効率の向上や人材育成にもつながると考えられる。
ただし、AIに評価を委ねることへの不安や、誤検知によるトラブルリスクも完全には排除できない。今後は、導入企業側がAI結果の活用方法について十分に設計・運用することが不可欠となる。
コンタクトセンター業務は、非対面接客の最前線として企業ブランドの印象を左右する場でもある。AIを活用した高度な支援体制が普及すれば、業界全体の生産性とサービス品質の底上げにつながる可能性が高い。