クラーケン運営のトークン化株式取引『xStocks』、アジアなどで展開へ ソラナ活用で金融アクセス変革

2025年5月22日、米大手仮想通貨取引所クラーケンは、Backed社と提携して株式のトークン化取引サービス「xStocks」の提供予定を発表した。アップルやテスラなど米国企業55銘柄超を対象とし、アジアを含む複数地域で数週間以内に提供開始される予定である。
主要米国株55銘柄超がソラナ上で取引可能に
新たに発表された「xStocks」は、ソラナブロックチェーンを基盤に構築されたトークン化株式の取引サービスである。クラーケンと提携するBacked社が開発を主導し、アップル、テスラ、グーグル、メタなど米国を代表する株式・ETFが対象となる。
注目すべきは、このサービスが米国を除く欧州、中南米、アフリカ、アジアの投資家を主な対象としている点だ。提供地域では24時間365日の株式取引が可能になるという。
利用者はソラナ系DeFi(※1)アプリケーションとも連携でき、xStocks上の株式トークンを担保にして借入を行ったり、レンディングで利回りを得ることもできる。
さらに、仮想通貨・ステーブルコイン・法定通貨のいずれでも購入が可能で、即時決済にも対応する点が革新的である。
トークン化が証券業界に与える影響 DeFi融合で急成長の兆しも
xStocksの登場は、従来の証券取引のあり方に大きな変化をもたらす可能性がある。既存の証券会社を介さず、分散型金融と統合した形で株式にアクセスできるため、金融包摂(※2)の観点からも注目される。
特に新興市場や銀行インフラが未整備な地域では、スマートフォン一つで米国株へ投資できる環境が整うことになり、世界中の個人投資家にとって選択肢が広がる。
また、ブロックチェーンによる透明性と即時決済は、コスト削減や取引の信頼性向上にもつながると考えられる。
一方で、規制対応の不透明さや、価格連動精度の課題、証券トークンの合法性を巡る議論など、リスクも存在する。
だが、BackedやPlume Network、WhiteRockといった仮想通貨ネイティブ企業も次々と参入しており、トークン化株式市場の成長は加速していくと見込まれる。
※1 DeFi(分散型金融):中央管理者を介さず、スマートコントラクトにより金融サービスを提供する仕組み。代表的な用途に貸付、交換、利回り運用などがある。
https://plus-web3.com/media/defi/
※2 金融包摂:すべての人が公平に金融サービスへアクセスできる状態を指す概念。特に発展途上国での経済発展を促進する鍵とされている。