Shopify、AIを搭載したストア構築を発表 新基盤「Horizon」でノーコード化とデザイン自由度を両立

2025年5月22日、コマースプラットフォーム大手のShopifyの日本法人Shopify Japanは、最新アップデート「Summer ’25 Edition – Horizons」を発表した。
150超の新機能の中心には、AIを搭載した新テーマ基盤「Horizon」が据えられており、ノーコードで高コンバージョンなECサイト構築を可能にする。
AI搭載テーマ「Horizon」でストア構築が直感的に進化
今回の「Summer ’25 Edition」では、Shopifyの新テーマ基盤「Horizon」が発表された。
AIを標準搭載したシステムで、コーディング不要でコンバージョン率の高いストア構築を実現する。
デザイン性に優れた10種のデザインプリセットに加え、商品検索やカート機能など購入導線を最適化したレイアウトがあらかじめ備わっている。
テーマブロックも刷新され、ブロックの移動・コピー&ペーストが自由にできるようになった。
30種以上のプリセットをプレビューしながら選択できるため、デザイン作業の効率も大きく向上する。
また、AIブロック生成機能により、目標に応じたレイアウトが自動提案され、短時間で高パフォーマンスなページを完成させることが可能だ。
さらに、新機能「AI Store Builder」では、数語のキーワード入力だけで3種のストアデザインを自動生成し、即座にカスタマイズへ移行できる。
初心者から上級者まで、幅広いユーザーに対応した柔軟な設計が特徴となっている。
「デクララティブコマース」が加速 個別最適化と拡張性に期待と課題
Shopifyのアップデートは、ストア運営の手間を最小化し、ビジネス戦略へ集中する「デクララティブコマース(※)」の実現を目指すものである。
AIアシスタント「Sidekick」は、日本語対応を含む20言語でマルチステップ推論が可能となり、複雑な分析と意思決定を一度の対話で完結させる。
業務の高速化に貢献することが期待できる。
また、アプリ「Knowledge Base」により、生成AI向けSEOの最適化が可能になり、消費者との接点が広がる。
「Shop」アプリでは行動履歴に基づく動的なフィード更新が導入され、パーソナライズされた購買体験が実現する。
一方、膨大な機能群とAIの導入には、学習コストや設計の柔軟性に伴う選択の複雑さといった課題も残るだろう。
特に中小規模の事業者にとっては、利便性の一方で、導入時の設計判断が悩ましい局面を生む可能性がある。
それでも「Shopify Catalog」や「Storefront MCP」といった外部開発者向けのAPI拡張により、個別最適化されたAIショッピング体験の創出が進めば、ストア構築の自由度と拡張性は飛躍的に高まるだろう。
今後は、より多様なニーズを持つユーザーに対して、AIがどこまでパーソナライズされた体験を提供できるかが注目されると思われる。
※デクララティブコマース:
事業者が目標を宣言するだけで、最適な方法が自動的に提示・実行されるビジネス構築アプローチ。