ヴァンエック、アバランチ基盤の新ファンド始動　持続可能なWeb3ビジネスに長期投資

2025年5月21日、資産運用大手ヴァンエックは、暗号資産アバランチ（AVAX）エコシステムを対象にした新規投資ファンド「VanEck PurposeBuilt」を立ち上げると発表した。AVAXはこの発表を受け、前日比4.3％上昇している。

VanEck、AVAX活用の長期志向型ファンドを立ち上げ

「VanEck PurposeBuilt」ファンドのローンチは2025年6月を予定しており、アバランチ上で発行されるトークンを活用する企業に特化して投資を行う。ヴァンエックはこの取り組みを通じて、仮想通貨の本質的価値を追求する姿勢を打ち出した。

対象となるのは、主にゲーム、金融、決済、AIなど多様な分野にわたり、トークン生成イベント（TGE）の前後を中心に投資を行う方針である。流動性の高いトークンだけでなく、ベンチャーキャピタル主導のプロジェクトへの関与も視野に入れられている。

未使用資金は、アバランチ上のRWA（※）トークンやトークン化マネーマーケットファンドに振り分け、資産の有効活用とオンチェーン経済の循環を両立させるとされる。

同ファンドの運用を担うのは、すでに1億ドル以上を運用する「VanEck Digital Assets Alpha Fund（DAAF）」のチームである。ポートフォリオ・マネージャーのプラナヴ・カナデ氏は「仮想通貨の次の波は、インフラの強化ではなく、実際のビジネスから生まれる」と語った。

短期投機からの脱却　長期視点の資金流入が進む可能性

「VanEck PurposeBuilt」ファンドの意義は、仮想通貨市場における短期的な値動きや投機性から脱却し、長期的な価値創造を志向する点にあると考えられる。
トークンの価格変動ではなく、プロジェクト自体の成長性を評価基準とするファンダメンタルズ投資を打ち出している。

このアプローチは、起業家が市場の一時的な熱狂に左右されず、戦略的かつ持続可能な事業構築を目指すうえで大きな支援となるだろう。
Ava Labsのジョン・ナハス氏も「今後は実用性あるトークンエコノミーへの移行が加速する」と述べ、同ファンドがこの潮流の中核を担う可能性を示唆している。

リスク要因としては、プロジェクトの成熟までに長期の時間を要する点や、アバランチ基盤に集中することによるプラットフォーム依存が挙げられる。
しかし、ヴァンエックはその見返りとして、深いリサーチに基づいた戦略的投資でポートフォリオの質を高めると説明している。

加えて、ヴァンエックは13日にも米国債をベースとするトークン化ファンド「VanEck Treasury Fund（VBILL）」をローンチしており、アバランチにおける金融商品の拡充を本格化させている。

今後、こうした動きは伝統金融とWeb3の融合を加速させ、オンチェーン経済への新たな資本流入を促す可能性があるだろう。

※RWA（Real World Asset）：不動産、証券、アート作品など現実世界の資産をブロックチェーン上にトークンとして記録・運用する手法。