Google、大学生に「Gemini AI Pro」を15カ月間無料提供 通常月額2,900円の上位プラン

2025年5月20日、米Googleは大学生向けに「Gemini AI Pro」を15カ月間無料で提供するキャンペーンを発表した。対象は日本を含む5カ国の学生で、通常月額2,900円のAI上位機能が無償で利用可能となる。
学生限定、Gemini 2.5 ProやVeo 2などが無料開放
Googleは2025年5月20日、開発者会議「Google I/O 2025」にあわせて、AI機能の上位プラン「Google AI Pro」の学生向け無償提供を開始した。提供期間は15カ月間で、申込締切は6月30日まで。
対象はアメリカ、イギリス、ブラジル、日本、インドネシア在住の18歳以上の大学生で、登録時に「.ac.jp」など有効な教育機関ドメインのメールアドレスを持つ必要がある。
同プランでは、最新の大規模言語モデル「Gemini 2.5 Pro(※)」へのアクセスが可能になるほか、対話型AI「Gemini Live」、画像生成AI「Whisk(ウィスク)」、動画生成ツール「Veo 2」など、多数の先端機能が含まれている。
また、ノートアプリ「NotebookLM」では、講義ノートの整理やレポート作成をAIが支援するなど、学業全般での活用が期待されている。
さらに、2TBのクラウドストレージが付帯され、Google ドライブやGmail、Google フォトとの連携も強化される。登録には個人のGmailアカウントが必要で、学校から配布されたGoogle Workspaceアカウントは対象外となる点には注意が必要だ。
また、無料期間終了後は自動的に月額2,900円の有料プランに移行するため、こちらも注意が必要だ。
生成AI活用が学生生活に浸透へ 学びと商用ツールの融合
Googleによる学生向けキャンペーンは、生成AIの利活用が学習現場に本格的に浸透する転換点となりそうだ。
NotebookLMでの知識整理や、Geminiによるレポート支援により、従来は手作業だったプロセスがAIによって効率化されることが期待できる。特に、卒論や履歴書といった文書の作成において、高度な支援機能が実用レベルで提供される点は大きい。
AIの商用利用レベルの機能が無償で提供されることで、学生が社会人と同等のツールを用いてスキルを磨くことが可能になるだろう。その一方で、課題の自動生成や不正利用への懸念も高まるため、教育現場では新たな対応が必要となりそうだ。
今回の提供は、Googleが学生層に早期からAIへの接触機会を与えることで、将来的な利用者拡大やブランドロイヤルティ向上を狙う戦略の一環と見られる。
今後、他のテック企業が追随する可能性もあるため、生成AIの普及速度はさらに加速することだろう。
※Gemini 2.5 Pro:
Googleの最新大規模言語モデル「Gemini」シリーズの上位版。複雑な質問応答、コード生成、複数モーダル(画像・音声・動画)対応を特徴とする。
大学生限定、Gemini の無料アップグレードを 15 か月間利用可能(公式リンク):https://gemini.google/students/?hl=ja