マイクロソフト、「Copilot」強化でMicrosoft 365がさらに実用的に メールや会議準備の負担を軽減

2025年5月19日(米国時間)、米マイクロソフトは年次開発者会議「Build 2025」において、「Microsoft 365 Copilot」の新機能を発表した。
OutlookやTeams、Wordなどの主要アプリにAI機能が拡張され、業務の生産性と利便性が大幅に向上することが明らかになった。
CopilotがOutlookやTeamsに新機能 業務効率化を加速
マイクロソフトは、「Microsoft 365 Copilot」に複数の新機能を追加し、日常業務の負担軽減を図る。
特にOutlookにおいては、検索結果や添付ファイルの要約生成機能が搭載され、受信トレイの操作性が向上する。内容を開かずに要点を把握できることで、セキュリティリスクの軽減にもつながる見込みだ。
加えて、会議前の準備を支援する機能も実装された。
Copilotが会議の議題を要約し、事前に対応すべきタスクを提示することで、参加者は資料を探す手間なくスムーズに準備可能だ。これにより、ビジネスのスピード感と質が両立できる。
さらに、生成されたAIの応答をそのまま編集・共有できる「Copilot Pages」では、モバイル対応が進み、スマートフォンからの編集・保存も可能になった。
作成したページはワンクリックでWord形式に変換可能で、従来の業務フローとの統合もスムーズになっている。
AI活用の進化で業務はどう変わるか 利便性と依存リスクの両面に注視
マイクロソフトのAI戦略は、業務支援だけにとどまらず、創造的作業への介入にも広がっている。
たとえば「Copilot Notebooks」では、WordやPowerPointの資料作成に役立つノート型ツールを提供している。また、「Create」機能では、企業ブランドに即したAI画像を生成することも可能で、OpenAIの最新モデル「GPT-4o」も採用されている。
これにより、文書作成、調査、分析など、多岐にわたる業務のAI化が進展し、担当者はより高度な判断業務に専念できるようになるだろう。
特にメール処理や会議準備といった「非創造的だが不可欠な作業」をAIが代行することで、従業員は本質的な業務に集中できるようになると考えられる。
これは生産性の向上だけでなく、企業全体の意思決定スピードにも影響を及ぼすだろう。
一方で、業務におけるAIの役割が拡大するにつれて、ヒューマンスキルの希薄化や判断力の低下といった副作用も懸念される。
AIに依存しすぎることで、思考停止や情報の受け身化が進むリスクは無視できない。特に生成コンテンツが増加する環境では、真偽の見極めや独自性の保持がより重要となってくる。
今後は、Copilotが担う範囲をどこまで拡張するかだけでなく、人間がどこに価値を残すかが問われる時代に入るだろう。
導入の容易さに対して、運用体制の整備とガバナンス構築は急務になると予測される。