AI時代のEC競争を勝ち抜く新戦略 売れるネット広告社、AEO最適化サービスを開始

2025年5月19日、国内の広告支援企業である売れるネット広告社が、生成AI時代のEC最適化を見据えた新サービス「売れるAI最適化 for ChatGPTショッピング」を発表した。
AEO(AI Engine Optimization)という新たな概念を軸に、ECサイトの構造や情報をAI向けに最適化する包括的なコンサルティングを提供する。
SEOからAEOへ、購買支援AIに対応した新時代のEC戦略
従来のSEOがGoogle検索などを前提に情報の可視性を高める手法であったのに対し、AEO(AI Engine Optimization)はChatGPTのような生成AIが情報を理解・出力する特性に最適化する戦略だ。
売れるネット広告社が打ち出した「売れるAI最適化 for ChatGPTショッピング」は、このAEOに本格的に取り組んだ国内初の支援サービスと言える。
このサービスは、主にネット通販やD2C(※)企業を対象としており、ECサイトがAIによる購買支援において上位表示・推薦されやすくなるサイト構造と情報整備を支援する。
具体的には、AIが情報を正しく解釈するための構造化データの整備や、製品情報・レビュー・FAQの最適化などを含むコンサルティングを実施。
さらに、ChatGPTなどがアクセスする際のAPI設計やAIクローラーの対応といった技術的なサポートにも踏み込んでいる。
初期段階としては、現行のサイトがAIにどれだけ対応しているかを診断し、改善すべき点を明確化する。
そのうえで、段階的にAEO対応を進めるためのマイルストーンを策定する仕組みだ。
これにより、AIによる推薦アルゴリズムに適合した情報設計が可能となり、商品が「買うAI」に選ばれる確率を高めることができる。
サービスには診断中心の簡易プランから、長期的に取り組む成果報酬型の支援プランまで用意されており、企業の課題や予算に応じた柔軟な対応が期待できる。
※D2C(Direct to Consumer):
中間業者を介さず、メーカーやブランドが自社ECサイトなどを通じて消費者に直接販売するビジネスモデル。ブランド体験のコントロールや利益率向上が特徴。
生成AIが「顧客」になる時代
生成AIが商品推薦や検索回答の手段として普及するにつれ、AIそのものが一種の「中間顧客」として振る舞う時代が訪れつつある。
今後はAIがどのような情報を好み、どのような構造を理解しやすいかという「AI向けの可読性」を意識した情報設計にも需要が生まれるだろう。
「売れるAI最適化 for ChatGPTショッピング」は、まさにこの転換に対応するためのサービスだ。
特に中小規模のEC事業者にとっては、自社でこうしたAEO対応を独自に進めるのは難しく、競争力を維持するうえで強力な支援となるだろう。
とはいえ、AEO対応には初期投資や情報設計の再構築といった負担も伴うため、すべての企業に即時導入が適しているとは限らない。まずは診断プランなどを通じて、自社のAI対応度を把握し、段階的に取り組むことが現実的だと考えられる。
AIの進化とともにユーザー行動も変化する中、AEOは今後のデジタルマーケティングにおいて不可避の視点になるのではないかと思われる。