Cubecが臨床ナレッジAIを無料提供 信頼性重視の医師支援AI登場

2025年5月19日、株式会社Cubecは、医師が診療中に抱く疑問に対して研究論文などに基づいた情報を即時に提供する臨床ナレッジAI「Cubec」の提供を開始した。
無料で利用可能である一方、信頼性、専門性の高い対話型アプリケーションとして注目を集めている。
医師の判断を支える“会話するAI”が登場
Cubecは、医師が臨床現場で抱く疑問に対し、信頼性のある情報を即時に提示することを目的として設計されたAIアプリケーションだ。
これまでのWeb検索や汎用AIでは、医療情報の信頼性にばらつきがあり、正確な判断を下すには医師自身が出典を吟味する必要があった。
そのため、専門的で複雑な疑問になると検索結果の取捨選択に時間を要し、場合によっては専門医への確認を要するケースも少なくなく、時間がかかることがネックだった。
新たに提供が始まった「Cubec」は、こうした課題に対して直接的な解決を試みたものだ。
最大の特徴は、医師が日常的に用いる自然な表現で入力した疑問に対して、生成AIが研究論文などの信頼性の高いデータベースから情報を抽出し、質問の意図に沿って要約・整理して回答を返す点にある。
回答には出典が明記されるため、後から根拠を確認することもできるという。
また、本サービスは完全無料で提供される予定だ。
初期導入のハードルを下げつつ、医師の意思決定支援ツールとしての浸透を狙っている。
2025年中に“より深い支援”を目指すCubecの展望
Cubecは、今後の展開として2025年中に機能強化版の公開を予定している。
医師の診療判断における思考プロセスや推論パターンを独自に学習した生成AIが導入される見通しだ。
従来よりも高度で複雑な疑問や、専門外の領域にまたがる質問に対しても、AIが問いの構造を理解したうえで適切な情報を提供できるようになるという。
本サービスの開発と今後の拡張に向けて、Cubecは累計8,000万円の資金調達を実施している。
これにより、プロダクト開発とサービス基盤の強化に弾みがつくと考えられる。
Cubecが今後予定している機能強化版は、医師の思考様式や推論パターンを取り込んだAIを目指しており、これが実現すれば診療支援AIの精度と実用性は格段に向上する見通しだ。
特に、専門領域を越えた複合的な問題に対してもAIが構造的に理解を行い、適切な情報を提示することができれば、セカンドオピニオン的役割としての地位を獲得することもありうるだろう。
ただ、医療関係はミスが許されない分野である以上、ソフトウェア設計やデータベースについては、信頼性を担保するとともに、透明性を確保する必要があるだろう。
診療中の判断を補助するという観点からは、医師個人の診療スタイルとの相性や、学習データの選定が、今後非常に重要な要素になると言える。