Netflix、2026年に生成AI広告を導入へ 視聴中の番組や履歴に応じて自動生成

2025年5月14日、米Netflixが2026年より広告付きプランにおいて、生成AIを活用した動画広告の導入を開始すると明かした。
視聴中の番組やユーザーの履歴に応じて表示される広告となる見通しで、広告戦略の転換として注目される。
Netflix、AI生成のパーソナライズ広告を2026年に開始
Netflixは、2026年に広告付きプランへ生成AIによる広告を導入する方針を発表した。
これは、番組の途中や一時停止時に挿入される広告が対象で、個々の視聴者に合わせた内容がリアルタイムで生成される可能性がある。
この方針は、米メディア「Media Play News」の報道により明らかになったが、現時点で広告の仕組みや具体的な表示方法など、技術的詳細は公表されていない。
ただし、導入自体は確定しており、今後の展開が注視されている。
Netflixの広告部門を率いるエイミー・ラインハルト氏は、AI広告の導入について「当社の強みであるエンターテインメントとテクノロジーの融合」と強調。
「他社は片方に秀でていることが多いが、我々はその両方を持つ」と語った。
ラインハルト氏はまた、広告付きプランの加入者が月平均で41時間視聴しており、うち3時間が広告にあたると説明。広告の効果が高いことを示唆し、「番組と同等の関心が広告にも向けられている」と述べた。
AI活用による広告戦略の展望 収益拡大と視聴体験の両立なるか
今回の生成AI広告導入は、Netflixにとって収益拡大の切り札となる可能性がある。
ユーザーごとの嗜好に応じた広告を瞬時に生成できれば、従来の静的な広告よりもエンゲージメントが高まると予測される。
AIの特性を活かせば、広告主は精度の高いターゲティングが可能となり、クリック率や購入率の向上も期待できる。
一方で、パーソナライズの裏にはプライバシーリスクも存在する。
視聴履歴や行動データの解析による広告生成は、個人情報の取り扱いに対する懸念を招きかねない。
特に欧州など規制が厳しい地域では、導入時の透明性確保が求められるだろう。
さらに、広告体験そのものが過剰になることで、視聴者の離反につながるリスクも無視できない。AIが生成した広告が本編と同じレベルの注意を引くというNetflixの分析が正確だとしても、それが「広告疲れ」を助長する可能性もある。
とはいえ、動画配信業界における広告の最適化は今後の収益構造に直結する。
Netflixのこの試みは、生成AIがコンテンツ産業全体にどのような変化をもたらすのかを占う試金石となるだろう。