ピクトレ、東北3県で電信柱撮影ゲームの実証実験を開始 インフラ維持にWeb3活用

2025年5月15日、シンガポールを拠点とするDigital Entertainment Asset(DEA)が、NTT-MEおよびGreenway Grid Globalと連携し、参加型ゲーム「ピクトレ(PicTrée)」による電信柱撮影の東北3県での実証実験を実施すると発表した。
ゲームで電信柱を撮影しインフラに貢献 地域参加型実証の全貌
実証実験は2025年5月17日から6月22日まで、青森・秋田・山形の3県で展開される。対象となるのは約15万本の電信柱で、参加者はスマートフォンアプリ「ピクトレ」を使用し、電信柱の写真を撮影してデータを投稿する。この撮影データを基に、電力設備の異常や不具合の早期発見を目指す。
ゲームはチーム戦形式で進行し、参加者は3つのチームに分かれて競い合う。撮影した電信柱の数や内容によってポイントが加算され、ランキング上位者にはAmazonギフト券やDEAの暗号資産「DEAPcoin(DEP)」が報酬として提供される仕組みだ。
ピクトレは単なるゲームではなく、ユーザーの行動が地域インフラの維持に直結する社会貢献型のプラットフォームである。誰もがスマートフォン一つでインフラ点検の一翼を担うことができるという構図が、新しい参加型の公共支援のあり方を示唆している。
DEAは過去にも東京都心や北関東、静岡で同様の実証を実施してきた。これらの事例では、樹木の接近やカラスの営巣といった危険要素を早期に特定する成果を挙げており、ピクトレの有効性が証明されつつある。
ピクトレが描くWeb3インフラ管理の未来 参加と報酬がもたらす波及効果
各地での実証を経て、収集されたデータの有用性や参加者の反応によっては、全国への拡大も視野に入ってくるだろう。特に地方における人手不足やインフラ老朽化の問題に対し、有効なソリューションとして注目を集めると考えられる。
参加者に報酬が付与される仕組みは、継続的な関与を促すインセンティブ設計として機能する。単なるボランティア活動では得られない動機付けが、結果として公共性の高い活動を持続可能にしている点は注目に値する。
また、ゲームという娯楽性を取り入れた点が、これまで関心の薄かった層の巻き込みにも寄与している。社会貢献とエンタメの融合は、企業のCSRや地方自治体の広報活動にも応用可能であり、新たなマーケティングの形としての展開も期待される。
長期的にはAI解析やIoTと連携し、より高度なインフラ予測保守モデルへと進化するかもしれない。Web3技術を基盤にしたこの取り組みが、社会インフラ管理にどのような影響をもたらすのか、今後の動向に引き続き注目したい。