YouTube、Gemini採用の新ツール「Peak Points」発表　動画上で”盛り上がる”瞬間の直後に関連広告を表示

米Google傘下のYouTubeは2025年5月14日（現地時間）、年次イベント「YouTube Brandcast 2025」において、Googleの生成AI「Gemini」を活用した広告主向け新ツール「Peak Points（ピークポイント）」を発表した。

感情の山場に広告を　視聴体験を妨げず広告効果を最大化する新機軸

「Peak Points」は、動画視聴中に視聴者のエンゲージメントが最も高まる瞬間＝ピークポイントを、Googleの生成AI「Gemini」が解析・特定し、その直後に最も効果的な広告を差し込む仕組みだ。
これにより、従来の一律なタイミングでの広告挿入と異なり、視聴者の感情に寄り添った“自然な広告体験”が実現する。

動画コンテンツ内の盛り上がりをAIがリアルタイムで捉え、例えば感動的なタッチダウンシーンの後にスポーツブランドの広告を表示するなど、文脈に合った広告配置が可能になる。

Geminiは大規模言語モデル（LLM）としての能力に加え、画像・音声・映像の解析にも対応しており、動画の展開や視聴者の感情の動きまで読み取ることができる。この高度な解析能力が、「Peak Points」の核となっている。

YouTubeは、このアプローチによって広告が“邪魔”ではなく“共感”につながるものとして受け入れられる世界観を目指している。

広告主に新たな武器、視聴者には違和感のない広告体験　YouTube広告の未来図

広告主にとって「Peak Points」の導入は、ブランド認知とコンバージョンの最大化につながる新たな戦略ツールとなる可能性が高い。これまでのような「決まったタイミングで広告を差し込む」アプローチではなく、ユーザーの感情曲線に沿った挿入が可能となることで、ブランドメッセージがより強く印象に残る効果が見込まれている。

視聴者にとっても、広告がコンテンツを遮る存在から、物語の一部のように自然に溶け込むことで、広告に対するストレスが軽減されると考えられる。これは、広告が「押しつけ」から「共感」へと転換することを意味する。

一方で、ユーザー感情の解析精度やアルゴリズムの透明性に関する懸念も一部には残る。
競合するSNSや動画配信サービスも、今後同様のAI連携広告ツールを展開する可能性があり、広告技術の競争がさらに加速することは間違いない。

視聴者体験と広告効果の両立を図るこのアプローチが、次世代の動画広告のスタンダードとなるか、今後の展開に注目が集まる。