Z世代の約7割、就職活動で生成AI未活用 UZUZ調査が示す利用実態と意識ギャップ

2025年5月15日、若手就職支援を手がけるUZUZ(ウズウズ)が実施した調査結果が公表された。
同調査によると、日本国内のZ世代の約68%が就職・転職活動において生成AIを使用していない実態が明らかになった。
生成AIの普及が進む一方で、キャリア形成の現場ではその活用が限定的であることが浮き彫りになっている。
Z世代、生成AI活用に慎重姿勢 UZUZ調査が示す就職活動の現実
UZUZが2025年3月から5月にかけて行った調査によれば、20代男女698人のうち68.2%が就職・転職活動で生成AIを「あまり使っていない」「使用していない」と回答した。
日常生活においても58.9%が「あまり使っていない」「使用していない」と答えており、デジタルネイティブ世代でありながら、生成AIの活用は思った以上に進んでいない現実が浮かび上がった。
生成AIを利用している層でも、用途はエントリーシート作成が61.7%と最多で、業界分析や面接対策に活用している割合も一定数存在した。
しかし、自らの将来に関わる職種や求人選択に生成AIの影響を受けたとする回答はわずか18.1%にとどまった。
UZUZは、Z世代が生成AIを「業務支援ツール」として受け止める一方、キャリアに対する影響を限定的に捉えていることを指摘している。
これらの結果から、Z世代は生成AIを便利な補助的ツールとして扱い、意思決定や進路選択には従来通りの方法を重視する傾向が強いと考えられる。
生成AIを“使いこなす力”がカギ Z世代とキャリア形成のこれから
Z世代の生成AI活用の低調さは、キャリア形成におけるAI活用の価値認識の低さに起因している可能性がある。
この背景には、AIの出力に対する信頼度の低さや、情報の独自性を重視するZ世代特有の価値観が影響しているとみられる。
今後、生成AIが就職・転職活動において標準的なツールとなるか否かは、二つの要素に左右されるだろう。
第一は、教育現場におけるAIリテラシー教育の普及である。
生成AIを“自らの考えを深める手段”として適切に使いこなせる人材を育成できるかが、社会全体のAI活用水準を底上げする鍵となるだろう。
第二は、生成AIを活用した具体的な成功事例の可視化である。
特に、AIの助けを借りてキャリア選択に成功したロールモデルが登場すれば、Z世代の認識も変化していくと考えられる。
ただし、過度なAI依存によるテンプレート化や画一的な応募書類の氾濫といった弊害も想定されるため、企業・教育機関・個人が“三位一体”となって、バランスの取れたAIリテラシー教育と実践の場を整備する必要があるだろう。