日本オラクル、AIエージェントによる業務プロセス自動化を発表

2025年5月13日、日本オラクル株式会社は都内で記者説明会を開催し、業務アプリケーション群「Oracle Fusion Cloud Applications」にAIエージェント機能を正式に導入すると発表した。生成AIの活用により、企業の業務プロセスをより高度に自動化し、効率化と統制を両立する仕組みとして注目される。
「タスクをお願いする」AI、業務の高度な自動化
今回発表されたAIエージェントは、日本オラクルの中山耕一郎氏によって「タスクをお願いする存在」と位置付けられており、従来のAIアシスタントとは異なる性質を持つという。
Oracleが提供するAIエージェントは、チャットUIから文章を生成する「作成」、企業独自の情報をもとに回答を提示する「回答」、複数の業務タスクを連携・実行する「実行」の三機能を中核に据えている。
このAIが実装される「Oracle Fusion Cloud Applications」は、単一のデータベースとデータモデル上で動作しており、部門を横断するリアルタイムな情報整合性が確保されている点が大きな特徴だ。
これにより、AIが処理するデータの欠落や分断が生じにくく、確度の高い業務判断や自動実行が可能となるという。
たとえば、購買から支払いまでの一連業務をAIが代行することで、紙ベースの運用からの脱却を図ることができる。さらに、社内ポリシーの確認もチャット形式で容易に実行でき、調達関連の意思決定をスムーズにする。
従来、属人的で煩雑だったプロセスが、AIによって標準化・自動化される可能性がある。
業務ごとのAIカスタマイズが可能に 今後の課題と展望
日本オラクルは今回、AIエージェントの開発ツール「Oracle AI Agent Studio for Fusion Applications」についても紹介した。
このツールは、以前からOracleの開発部門で使っているツールであり、多数の基本的なAIエージェントを事前に用意し、それらを組み合わせることで、複数の処理を段階的に実行する複合的なAIエージェントを構築・管理できる仕組みだ。
これにより、一般的な業務支援にとどまらず、業種特化型のユースケースにも柔軟に対応できる体制が整いつつあると考えられる。
中山氏によれば、プラットフォームの各機能はすでに個別には提供されており、今後はOracle Fusion Cloud Applicationsに統合する形で、今年の夏から秋にかけて本格的な提供が始まる見通しだという。
今後の生成AI時代においては、単なる効率化にとどまらず、業務の構造そのものを変えるテクノロジーとしての進化が問われている。ただし、業務プロセス全体の構造改革を伴うことから、単なるツール導入で終わるのではなく、業務設計・人材育成・セキュリティ対応など多面的な改革が求められる段階に入ってきたと言えるだろう。
生成AIが本当に“仕事を任せられる存在”として定着するかどうかは、これからの企業の姿勢と実装戦略にかかっているのではないだろうか。