電通、AIによるコンセプト開発を刷新 「AIQQQ Studio」の本格提供を開始

株式会社電通は2025年5月12日、同年2月より提供していたAIコンセプト開発ソリューション「AIQQQ Studio」の機能を刷新し、本格提供を開始すると発表した。
新たに搭載された3つのシステムにより、アイデア創出から検証・洗練までを短期間で実現可能なサービスへと進化した。
AIが変えるアイデア創出の現場
電通が提供する「AIQQQ Studio」は、AI技術を活用して事業や商品、サービスのコンセプト開発を支援するソリューションだ。
本ツールは2024年2月より提供されていたが、2025年5月12日に大幅にアップグレードされた。
今回のリニューアルにより、電通の知見とAIの融合が一層進み、ビジネス領域における創造的課題解決の加速が期待されている。
新たに加わった主力機能「AIQQQ FLASH」は、電通が長年培ってきたクリエイティブメソッドと、独自に蓄積した膨大なデータを学習したAIによって、従来のブレインストーミングとは一線を画す高速かつ独創的なアイデア生成を可能にする。
これにより、思考の枠を超えた発想や、多様な視点を短時間で導き出すことができるようになった。
次に「AIQQQ TALK」は、電通の生活者データをもとに構築されたAIペルソナシステムで、リアルな顧客像をシミュレートする。
まるでインタビューの場にいるかのような応答が可能となり、ユーザーインサイトに基づいたアイデア検証やブラッシュアップが実現できる。
これら2つのシステムを軸に展開される「AIQQQ SESSION」は、1カ月という短期間でアイデアの創出から検証・改良までを行うワークショッププログラムである。
ニーズに応じた3つのセッションを提供し、新規事業・研究開発・IMC(統合型マーケティングコミュニケーション)の各領域における多角的なアプローチを可能とする。
電通はこれらのシステムの追加により、事業やサービスの発想からコンセプト策定までをより高度に支援していく方針である。
AI活用ビジネス支援の競争が激化
国内外でAIを活用したコンセプト開発やビジネス支援ソリューションの提供が加速する中、電通の「AIQQQ Studio」が刷新された背景には、クリエイティブ領域での知見とAIの高度な融合が求められていると考えられる。
海外ではOpenAIやAdobeなども生成AIを活用したアイデア支援ツールを展開しているが、生活者理解と発想支援をワンストップで提供する点において、電通のソリューションは独自性が高い。
今後、「AIQQQ Studio」のようなAI×クリエイティブの融合ツールは、国内外の企業によるDX推進の一環として、導入が加速する可能性があるだろう。
一方で、AIによるコンセプト開発には、クリエイティブの「深み」や「偶発性」が失われる懸念もつきまとう。
生成されたアイデアがどれほど独創的に見えても、それが文脈的な“強度”を持っているかは、人の目による最終判断に必要である。