オープンAI、中東進出加速へ UAEでデータセンター新設を検討

2025年5月13日(現地時間)、米AI大手オープンAIがアラブ首長国連邦(UAE)に新たなデータセンターを構築する計画を検討していることが明らかになった。ブルームバーグが関係者の話として報じたもので、発表は早ければ今週中とみられる。
中東市場での存在感強化を目指す動きとして注目されている。
UAEでの事業拡大に向けデータセンター計画浮上
複数の関係者によると、オープンAIは中東地域における事業拡大の一環として、UAEへのデータセンター新設を検討している。
計画はまだ最終決定には至っていないが、早ければ今週中の発表が予想されている。情報の機密性から関係者は匿名でコメントした。
この動きは、トランプ米大統領の中東訪問と時期が重なる可能性があり、地政学的な観点からも注目を集めている。
トランプ氏は5月15日にUAEを訪問予定であり、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)も同時期に他のハイテク企業幹部とともに中東に滞在しているとされる。
同社は現在、米国内および欧州に複数のデータセンターを保有しているが、中東への本格進出は初となる。
UAEは積極的なテクノロジー投資と規制緩和を進めており、多国籍企業にとって戦略拠点としての魅力が高まっている。
オープンAIは今回の報道についてコメントを控えているが、中東市場の急成長とAI需要の高まりが背景にあるとみられる。
中東進出における事業拡大とリスク
UAEでのデータセンター新設は、オープンAIにとって中東・アフリカ市場でのサービス提供強化を意味する。地域の企業や政府機関へのAIソリューション提供が円滑になることで、顧客基盤の拡大が期待される。
UAEはエネルギー資源を背景にデジタルインフラへの巨額投資を続けており、AI活用の最前線としての地位を確立しつつある。オープンAIが現地に拠点を持つことで、パートナーシップの構築や研究開発の展開がよりスムーズになる可能性がある。
一方で、データセンター建設には高額な投資と規制リスクが伴う。
特にデータ主権(※)やプライバシー保護に関する各国の法律に適合する必要があり、慎重な対応が求められる。
さらに、中東特有の政治的リスクも存在する。安定したサービス提供を維持するためには、現地パートナーとの緊密な連携とリスクマネジメント体制の強化が不可欠だ。
オープンAIの中東進出は、グローバルAI競争の新たな局面を示すものと言える。
今後の正式発表と事業展開の進展に注目が集まる。
※データ主権:個人や企業のデータがどの国に保管され、どの法律の下で管理されるかを規定する概念。近年、各国で強化される傾向にある。