グーグルが340億円をデータセンターに投資 マレーシアにAI拠点強化へ

2025年5月5日、米グーグルがマレーシアにおけるデータセンター強化の一環として、約340億円を追加投資すると発表した。
AI需要の高まりを背景に、同国はアジアにおけるデータインフラ拠点としての存在感を強めている。
マレーシアがハイパースケールデータセンターの新拠点に
グーグルは2024年に、マレーシアで初となるデータセンターとクラウド拠点の建設に20億ドル(約2860億円)を投入すると発表していた。その方針をさらに加速させるかたちで、同社は今回、新たに約340億円を追加投資する。
契約先はマレーシアの大手建設企業ガムダであり、同社とは2件目となる協定を結んだ。
これにより、同国南部のポートディクソンにハイパースケール・データセンターを建設する計画が本格化している。
プロジェクトを担うのはガムダDCインフラストラクチャーで、冷却に必要な水資源を安定供給するため、水処理プラントの建設も併せて進める。
このように、単なるサーバー施設ではなく、AI用途に最適化されたインフラ構築が進行中だ。データ処理能力の強化と電力・水インフラの両面で、マレーシアは今後のアジア戦略において中核を担うと見られている。
さらに、ガムダはデータセンター建設用地として約157万平方メートルの土地を、グーグルの現地事業体であるパール・コンピューティングに売却することでも合意済みであり、取引総額は約150億円にのぼる。
アジア市場におけるデータ拠点の争奪戦と今後の展望
グーグルによるマレーシアへの340億円の追加投資は、同国がアジアにおけるAIインフラの中核拠点としての地位を確立しつつあることを示している。
マレーシアのデータセンター市場は、2024年に約40億ドルと評価され、2030年までに135億ドルに達する見込みであり、年平均成長率は22.38%と予測されている。
この成長は、AIやクラウドサービスの需要増加に伴うものであり、グーグル、マイクロソフト、オラクルなどの大手企業が相次いで投資を行っている。
特に、グーグルはマレーシアで初のデータセンターとクラウド拠点の建設に20億ドルを投入し、さらに今回の追加投資でその方針を加速させている。 これにより、マレーシアはASEAN圏における新たなIT中継地点としての存在感を強めている。
今後、マレーシアがアジアのデジタル経済における主要なプレーヤーとしての地位を確立する可能性は高いだろう。
しかし、電力や水資源の需要増加に伴う環境負荷や、他国との競争激化などの課題も存在するため、持続可能な成長戦略の構築が求められる。
特に、再生可能エネルギーの活用やインフラ整備の効率化など、環境と経済のバランスを取ることが重要となるだろう。
マレーシアがこれらの課題に適切に対応し、データセンター市場の成長を持続させることができれば、同国はアジアにおけるAIインフラの中心地としての地位を確固たるものにできるのではないだろうか。