オープンハウスグループのWeb3宿泊施設が群馬で暗号資産対応へ

2025年5月1日、株式会社オープンハウスグループは、群馬県みなかみ町でNOT A HOTELと共同開発した温泉ヴィラ「NOT A HOTEL MINAKAMI TOJI」を開業したと発表した。同社が発行する暗号資産NACを活用したレンディング型宿泊プランの対象にも加わる予定であり、観光とWeb3の融合事例として注目できる。
群馬に誕生する新拠点、NACレンディングを導入
NOT A HOTELが新たに展開するヴィラは、群馬県の自然豊かな地域に位置し、洗練された建築デザインと滞在型ラグジュアリー体験を提供することをコンセプトとしている。
NOT A HOTELは、実在する不動産とWeb3(※1)技術を融合した「NOT A HOTEL DAO」の構築に取り組んできた。今回の施設も、同社が既に導入している暗号資産NACを活用した「レンディングプラン」の対象にも追加される予定である。
NACは、2024年12月に実施されたIEOにおいて約20億円を集めた実績を持つ、RWA(※2)領域に関連した暗号資産であり、現在はGMOコインを通じて取引が可能となっている。
今回のDAOでも、保有者がNACをレンディング(※ 3)することで宿泊権を得る仕組みが採用されており、宿泊にあたっての現金支払いを不要とする点が特徴だ。暗号資産の長期保有と実需利用の両立を目指したモデルとなっている。
観光×暗号資産 新たなユースケース創出への期待と課題
今回の取り組みは、観光業界における暗号資産活用の実証的な事例として、業界内での位置づけを強める可能性がある。
特に国内においては、宿泊施設におけるデジタル通貨利用がまだ限定的である中、NACのようなトークンを媒介とした新たな経済圏の構築は、他地域への波及も視野に入るだろう。
一方で、暗号資産の価格変動リスクや法的整備の進捗といった課題も残されている。
今回の導入が観光客にとって実用的で魅力的な選択肢となるには、安定性や操作性、情報提供体制など、非投資家層にも配慮した運用設計が不可欠と考えられる。
今後、NOT A HOTELの他拠点への拡大や、NAC以外のトークンとの連携が進めば、国内観光における暗号資産のユースケースがさらに拡張される可能性もあるだろう。
Web3技術と宿泊業の融合が一過性の話題に留まるのか、それとも新たなスタンダードへと転化していくのか、今後の動向が注視される。
※1 Web3:ブロックチェーン技術を活用した次世代のインターネット構想。中央管理者を介さず、ユーザー自身がデータやサービスを直接管理・利用できる分散型の仕組みが特徴
https://plus-web3.com/media/web3/
※2 RWA(Real World Asset):実物資産を意味し、不動産や債券などの現実世界の資産をブロックチェーン上でデジタル化・トークン化したもの。資産の流動性向上や取引の効率化が期待されている。
※3 レンディング:保有資産を一時的に預けることで利回りや利用権を得る仕組み。暗号資産分野では分散型金融(DeFi)でよく用いられている。