モルガン・スタンレー、E*Tradeで仮想通貨取引開始へ 米金融界の潮流を象徴

2025年5月1日、米モルガン・スタンレーが傘下のE*Tradeにて仮想通貨の現物取引サービスを2026年に開始する計画であると報道された。この動きは、米金融業界全体がデジタル資産に対するスタンスを再定義し始めていることを強く示唆している。
仮想通貨を巡る米金融大手の本格参入、その背後にある政策転換
モルガン・スタンレーは2026年中に、オンライン証券会社E*Tradeを通じてビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの売買が可能となる新サービスを導入する計画であるようだ。
この発表は、トランプ前政権下で進められた仮想通貨に関する規制緩和政策を背景としており、現在の米国金融界におけるデジタル資産への見方の変化を象徴している。
E*TradeはすでにビットコインETFや先物商品など、仮想通貨関連の金融商品を取り扱っており、個人投資家層を中心に一定の市場を築いてきた。今回の現物取引サービスの追加により、E*Tradeは投資手段の選択肢を広げ、ユーザーの更なるニーズに応える構えだ。
また、モルガン・スタンレー自身も仮想通貨関連企業との提携を視野に入れ、サービスの質と安全性を高める戦略を進行中である。
この動きはモルガン・スタンレーに限った話ではない。同じく大手証券会社のチャールズ・シュワブも、仮想通貨現物取引の導入を計画しており、今後米国内での競争は一層激化するとみられる。
今後の展望、デジタル資産市場は拡大傾向か
金融の中心地である米国において、大手金融機関が仮想通貨市場へ参入するインパクトは大きい。これまで個人投資家や一部の機関投資家が中心だった仮想通貨市場は、信頼性と透明性のあるプレイヤーの参入によって、より広範な投資家層の参加を促すことになるだろう。
投資家にとっては、既存の金融口座を通じて仮想通貨取引が可能になることで、利便性と安全性の両面が向上すると思われる。
さらに、伝統的な金融機関の参入は、仮想通貨市場の信頼性向上にもつながり、長年の課題とされてきた「ボラティリティの高さ」への対策案も期待できる。
一方で、急速な市場拡大は新たなリスクも孕むだろう。
たとえば、技術的な脆弱性や規制環境の変化への備えが不十分なまま利用者が急増すれば、混乱を招く可能性もある。そのため、今後の展開では、単なる市場規模の拡大だけでなく、制度設計や投資家教育の充実が不可欠になると思われる。
モルガン・スタンレーが提示した未来像は、もはや一企業の戦略にとどまらない。
金融業界全体が、Web3時代の資産運用という新たな領域に踏み出したことを意味しているのではないだろうか。