ナスダック、21Sharesのドージコイン現物ETFをSECに申請 暗号資産市場に新たな動き

2025年4月28日、米ナスダックがスイスの資産運用会社21Sharesによるドージコイン(DOGE)現物ETF「21Shares Dogecoin ETF」の上場申請を米証券取引委員会(SEC)へ提出した。承認されれば、ドージコインのETFとしては米国初の事例となり、市場へのインパクトが注目される。
ナスダックが「21SharesドージコインETF」を正式申請
21Sharesは、ドージコイン(DOGE ※)の現物価格に連動するETFの設立を目指し、2025年4月9日に「S-1申請書」を提出していた。
今回、ナスダックが上場取引開始に向け、28日に「19b-4申請書」をSECへ提出したとみられる。これは、上場承認に必要な手続きの一環であり、SECの審査を経て可否が判断される。
今回提出されたETFは、米メリーランド州の信託会社が信託受託者として指定され、資産の保管は米Coinbase Custodyが担当するとさせる。
ETF(上場投資信託)は、特定の資産に連動する形で取引所に上場される金融商品であり、個別の資産を直接保有せずに価格変動に投資できる。
とりわけ暗号資産においては、ETFを通じた間接投資が広範な投資家層の参入を後押しする仕組みとして注目されてきた。
特にドージコインは、元々インターネット・ミームに端を発するが、近年は著名人の支持やSNS上の話題性により、一定の投資対象として認知されている。
また、同社が運用するドージコイン連動型の上場取引商品「21Shares Dogecoin ETP」は、今月8日からスイスのSIXスイス証券取引所に上場されている。今回は、その経験を米国市場へと広げる動きといえるだろう。
※ドージコイン(DOGE):2013年に冗談から生まれた暗号資産。柴犬をモチーフとしたミームが由来。価格は他の主要資産に比べ安価で、コミュニティ主導で支持を広げている。
ETF化で拡大する投資層と市場流動性 承認の可否がもたらす影響は
ドージコイン現物ETFが承認されれば、取引所を通じたアクセスが可能となることで、これまで暗号資産取引所の利用に慎重だった投資家層の参入が期待される。
とりわけ、証券口座のみを持つ個人投資家や、機関投資家の運用資産の一部がドージコイン市場に流入する可能性も出てくるだろう。
結果として流動性が高まり、価格の変動幅が一定程度抑えられる環境が整うかもしれない。
一方で、SECは現在も複数の暗号資産ETFの審査を保留しており、特にミームコインと呼ばれる銘柄への規制姿勢は依然として不透明なままであると考えられる。過去にはビットコインやイーサリアムの現物ETFの承認に時間を要した経緯もあり、今回の申請も承認されるまでには一定の時間がかかる可能性がある。
市場では、こうした状況下でも21Sharesの動きが他の資産運用会社の刺激材料となり、今後の申請件数が増加する可能性もある。
ドージコインETFが実現すれば、若年層や新興市場の投資家がデジタル資産をより身近に感じる契機となる可能性が高い。市場全体の成熟化に向けた一歩として、この申請の行方が注視されている。